上半期はN-BOXが僅差でヤリスに勝利! それでもトヨタの販売力は驚異的なレベルだった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■自販連と全軽自協から2022事業年度締め上半期の新車販売ランキングが発表された

■2022事業年度締め上半期にもっとも売れた新車はホンダN-BOXとなった

■登録車ではトヨタ車がベスト10に7車入り、「トヨタ強し」の印象は相変わらず

N-BOXとヤリスの販売台数差はわずか2625台

 自販連(日本自動車販売協会連合会)と全軽自協(全国軽自動車協会連合会)から、2022年9月単月の車名(通称名)別新車販売ランキングが発表されると、それと同時に2022事業年度締め上半期(2022年4月~9月)の新車販売ランキングも発表された。

 登録車と軽自動車の販売ランキングを合算すると、2022事業年度締め上半期にもっとも売れた新車はホンダN-BOXとなった。新型コロナウイルスや半導体不足などで思いどおりに新車を生産できないなか、2位のトヨタ・ヤリスにわずか2625台の僅差というデッドヒートでのトップであった。

 この2車のデッドヒートはいまに始まったわけではない、2021事業年度締め年間販売台数(2021年4月~2022年3月)ではN-BOX、2021事業年度締め上半期販売台数(2021年4月~9月)と2020事業年度締め年間販売台数(2020年4月から2021年3月)ではヤリスがトップになっている。

 N-BOXは2022年8月に、例年でも工場稼働率が下がる(お盆休みなどがあるため)8月にしても、約1.1万台まで販売台数が落ちていたが、2022年9月は約1.9万台まで盛り返している。約2600台の僅差で2022事業年度締め上半期販売台数でトップとなっていることを見ても、上半期締めでの販売トップを狙おうと9月は奔走した様子が見て取れる。

 トヨタ・カローラが3位に入っているが、これはセダン、ツーリング、スポーツが改良を控え、オーダーストップ後も改良前モデルのバックオーダー消化のための生産を続け、さらにハイブリッドを中心に深刻な納期遅延となっているカローラクロスのバックオーダーを可能な限り消化していこうとしている結果が出ているように見える。

 軽自動車では5位のスズキ・スペーシアと8位のダイハツ・タントとの販売台数差が1万台強となっている。タントは10月3日に改良を行うとともに、派生モデルとなるタント・ファンクロスが新規設定された。その外観を見てもわかるとおり、これはスペーシアギアのライバルとなるのは誰が見ても明らか。

 現行タントはデビュー直後から販売に勢いはなかったものの、スペーシアはスペーシアギアを設定し、これがスペーシアの販売台数に上積みされることになり、ここのところはスペーシアに押され気味の状況が続いていた。そのような背景でファンクロスが追加設定となったかは定かではないが、派生モデルによる販売台数の上積みでタント全体の販売強化を狙っているのは間違いないだろう。

 ダイハツはスズキ・ハスラーのライバルとされるタフトを市場投入するが、ハスラーの勢いを抑えることができていない。ブランド別で2022事業年度締め上半期販売台数をみると、軽四輪車全体ではダイハツがスズキを抜き軽自動車販売台数ナンバー1となっているが、軽四輪乗用車ではスズキがナンバー1となっており、軽商用車に依存したダイハツのナンバー1という傾向がここ数年続いている。

 ダイハツは生産や納車の滞りが目立つなか、タントの改良モデルや、ムーヴキャンバスなどのテレビコマーシャルを積極放映している。これはすでに2022暦年締め(2022年1月~12月)での、ブランド別軽自動車年間販売台数トップ死守だけでなく、軽四輪乗用車でもナンバー1を奪取しようとする動きのようにも見える。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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