2階はロードレースの起源とさまざまなモータースポーツを紹介 エレベーターで2階に上がると、また違ったテーマの展示となります。エレベーターを降りた正面にはポルシェ・カレラGTS、いわゆる“904”が展示されています。“904”といえば第2回日本GPでの活躍が印象的でしたが、ここに展示されているのはフラット8エンジンを搭載した“904/8”で、1964年のタルガフローリオでクラス優勝を飾ったクルマです。
ポルシェ904/8のフロントスタイリング 画像はこちら
そう、このエリアはタルガフローリオやミッレミリアなど、イタリアで公道を閉鎖して行われていたロードレースに関する展示となっていて、アルファロメオの1930年式6C1750グランスポーツSr.4やチシタリアの1947年式202Cレース仕様なども展示されていました。
アルファロメオ6C1750グランスポーツSr.4のフロントスタイリング 画像はこちら
ここからは1974年の三菱ランサー1600GSRと1981年の日産バイオレット、ともにWRCの1戦、サファリで勝った2台に続く格好で、WRCで勝利を重ねた国産ラリーカーが連なっていました。
三菱ランサー1660GSRのフロントスタイリング 画像はこちら
そしてその先には1991年のマツダ787Bと1999年のトヨタGT-One、2台のル・マン・カーが並べられていました。
マツダ787Bのフロントスタイリング 画像はこちら
さらに富士グランチャンピオン(GC)シリーズを盛り上げたマーチ85J-MCS7ヤマハやグループAによる全日本ツーリングカー選手権で活躍した1990年のトヨタ・スープラ3.0ターボAなど、1990年代のレースカーが並べられ、当時を懐かしむようなポスターも飾られています。
トヨタ・スープラ3.0ターボAのフロントスタイリング 画像はこちら
また、エレベーターの後ろにまわると3年間で27戦21勝をマークして、1992~93年にIMSA-GTPで2年連続ダブルタイトルを獲得したAARのイーグルMK3に加えて、NASCAR-Stock CarやCART-IndyCarなど、北米のモータースポーツに関するレーシングカーが展示されていて、ファンにとっては見逃せないコーナーとなっていました。
トヨタAARイーグルMK3のフロントスタイリング 画像はこちら
自動車大国のわが国では、自動車メーカーによる自動車博物館が数多く運営されています。自動車メーカーが運営する自動車博物館は、1989年にトヨタ自動車が創立50周年記念事業の一環として愛知県長久手市にトヨタ博物館をオープンしたのが嚆矢となり、ホンダや日産、そしてマツダ、三菱、SUBARU、スズキ、ダイハツ、いすゞ、日野と各メーカーが企業博物館を整備して一般に公開されるようになりました。
なかでもトヨタ博物館は、一企業の企業博物館に留まらず歴史(自動車史)的にポイントとなるクルマを世界各国から収集して収蔵展示するなど、世界的に見ても高いレベルの自動車博物館となっています。
今回オープンした富士モータースポーツミュージアムは、そのトヨタ博物館の“兄弟分”に当たるもので、トヨタ博物館が監修しているのはもちろんですが、国内メーカーの多くが保有する車両を貸し出すなど展示協力を行い、海外からもThe Henry Ford(ヘンリー・フォード博物館)や、メルセデス・ベンツとポルシェのドイツ強豪2メーカーが展示車両の協力企業に名を連ねています。
富士モータースポーツミュージアムの看板 画像はこちら
戦後復興で国内の経済発展をけん引してきたのは明らかに自動車産業であり、本来なら国土交通省や経済産業省、あるいは文部科学省といった官庁や日本自動車連盟が音頭を取って国立の自動車博物館があって然るべきと思うのですが、その辺りはまた機会を改めてお話しできればと思っています。
ともかく、モータースポーツに特化した博物館が誕生したことは、自動車史に残るエポックとなるはずです。