【試乗】C40&XC40に乗ったらボルボ「電動化」の本気が見えた! 高い完成度と暴力的な速さに嬉しいオドロキ (2/2ページ)

アクセルべた踏みを躊躇させるほど力強いリチャージ

 となれば、BEVがさらに上質であろうことは想像のとおりだ。

「C40リチャージFF」には、フロントに最高出力170kW(231馬力)、最大トルク330Nmの電気モーターを組み込み、フロントタイヤだけを駆動する。ツインモーターに比較すれば数値的に抑えられているものの、日常の使用でパワー不足を感じることはない。電気モーターならではの駆動力調整が緻密だから、FFだとはいえ前輪のトラクション不足を感じることはない。

 公式的な資料によると、0-100km/hの発進加速は7.4秒とされているものの、感覚的にはもっと力強い。低速域ではアクセルペダルの床踏みをためらわせるほどパワフルなのだ。電気モーター駆動ゆえに、速度の上昇に比例して加速度が鈍る。したがって数値的には7.4秒となるのだが、たとえば仮に0-50km/hを計測したら、爆発的な数字を残すのであろうと想像した。

 そんなだから、「XC40リチャージAWD」、つまりツインモーターの速さは激烈である。ツーモーターの合計で最高出力300kW(408馬力)、最大トルク660Nmを発揮する。0-100km/hはシングルモーターの7.4秒を大きく短縮する4.7秒だというから空いた口が塞がらない。

 無音のままドカンと加速するさまは、どこか暴力的である。正直なところ、これほどのモーターパワーをどこで引き出す必要があるのか頭を悩ますほどである。よほど攻撃的な走りをしない限り、シングルモーター仕様で十分に思えた。それほどツインモーターは力強いのである。

「ワンペダル感覚」が強いのも特徴だ。アクセルオンで加速するのは当然のこととして、アクセルオフで強い減速感が得られるのは異例である。内燃機関で言うところのエンジンブレーキを、より回生力を高めることが強調しているのだ。アクセルを急激に抜くと、ガクッと首が倒れそうになるほど減速Gが発生する。感覚的にはエンジンブレーキの5割増しである。そのままにしていると、完全停止する。近い将来の完全ワンペダルを想像した。

 日産も同様にワンペダルシステムに前向きだが、移行期には好き嫌いが分かれる。そのために、スイッチで強弱のコントロールが可能だが、ボルボにはそれがない。ワンペダルには一長一短があるので、個人的には違和感がある。だが、ワンペタル感覚を一本に限定したその潔さもボルボらしい。

 そもそもXC40とC40は、骨格とパワーユニットをともにする兄弟モデルである。XC40が正統派なSUVであるのに対してC40は、そのクーペスタイルから想像するように若々しさが宿る。購買層にも特徴がある。XC40が保守層に支持され、C40のユーザーは先進性を求める。となれば、XC40では48Vマイルドハイブリッド比率が高まり、一方のC40は、それこそ先鋭的な刺激を求める層に支持されるのではないかと想像した。

 ともあれ、駆け足でBEV化を進めるボルボにとって台数が期待できるXC40/C40シリーズは、脱炭素化に欠かせない重要なモデルとなる。だからこその完成度なのだろう。


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