この記事をまとめると
■軽自動車に未だに採用されていない装備や機能をピックアップ
■未採用の理由には「コスト」が大きく関係している
■廉価ということが軽自動車のウリなので費用が嵩むような装備は敬遠されがちだ
探すと意外とあった軽自動車に未採用の装備たち
装備も機能も性能も普通車顔負けになってきている軽自動車。とはいえ、(現行の)軽自動車にはありそうでないものもまだまだあるので、それらをピックアップしてみよう。
ディーゼルエンジン
1950年代にヤンマーが作った「ポニー」という軽自動車を除いて、今日までディーゼルエンジンの軽自動車は出ていない。点火プラグを使わないディーゼルエンジンの場合、排気量が小さいと燃焼効率が悪く、燃費、排ガス、振動、コストと、すべてにおいてメリットがないので、今後もディーゼルエンジンの軽自動車が登場する可能性はかなり低いだろう。
フルハイブリッド
プリウスに代表される、エンジンを止めてもモーターだけで走れる「ストロングハイブリッド」「フルハイブリッド」に対し、軽自動車で普及しているのは「マイルドハイブリッド」。マイルドハイブリッドは、シンプルで部品点数が少なく、3馬力前後のモーター機能付き発電機を付けるだけ。車体価格にも10万円弱しか影響しないコストの安さも魅力。
軽自動車は燃費が優秀なので、フルハイブリッドにしてもコストが見合わず、メリットもないので、将来的にも軽自動車のフルハイブリッド化の線は低いだろう。
多段AT&DCT
スポーツカーのミッションはMTの他、多段ATやDCTを採用する流れができているが、軽自動車はCVTが主流で、5速以上のトルコンATやDCTはない。スズキのアルトがシングルクラッチのAGSを採用しているが、デュアルクラッチのDCTは未採用。
小排気量車はCVTとの相性がよく、ストップ&ゴーや加速減速を繰り返す日本の道路事情を考えると、軽自動車のATは、使い勝手の良さとコストから考えてもCVT一択になる!?
V型エンジン
660ccの軽自動車には、3気筒が最適解というのが定着してずいぶん久しいが、360cc、550cc時代は2気筒が主流で、660ccに規格が変わった直後は、各社とも直4エンジンを手がけていた。エンジン形式でみると、2気筒、3気筒、4気筒ともオール直列エンジンで、唯一の例外は、1960年に登場したマツダ「R360クーペ」のV2気筒エンジン!
オート3輪のエンジンがベースだったが、振動、音、部品点数などを考えると、軽自動車向きではないので途絶えてしまった……。
スーパーチャージャー
かつてスバルのヴィヴィオやダイハツ ハイゼット(7代目)がスーパーチャージャーを採用していたことがあるが、いまの軽自動車でスーパーチャージャーを装着しているクルマはない。
スーパーチャージャーはターボに比べ低回転域から過給がはじまるとされていたが、後に高効率でレスポンスのいいターボチャージャーが開発されたため、部品点数が多く、重量面でも不利なスーパーチャージャーは、軽自動車、普通車を問わず、ほとんどフェードアウトしていってしまった。
四輪ダブルウイッシュボーン
F1マシンなどレーシングカーやハイパフォーマンスカーのサスペンションでおなじみのダブルウイッシュボーンサス。サスペンションの剛性が高く、ストローク時の対地キャンバー変化が少ないのが特徴。キャンバー変化、ロールセンターの高さ、アンチダイブ・アンチスクワットジオメトリなど自由度が高いのも強味だが、省スペース化は苦手で、コスト面でも不利なため、軽自動車には不向き。かつてスズキのカプチーノが四輪ダブルウイッシュボーンを採用していたが、これは非常に稀な例。