そのまま発売するの!? ほぼショーモデルの見た目で登場した衝撃スタイルのクルマ4台 (2/2ページ)

MRワゴンはミッドシップで考えられていた!?

ショーモデル:スズキMRワゴン
量産モデル:スズキMRワゴン

 同じく1999年の東京モーターショーにてスズキが出品したのが「MRワゴン」。こちらも同じ名前、ほぼ同じスタイリングで2001年に市販されている。

 写真をみても、ほとんど違いがわからないレベルで量産されたので、プロトタイプ的ショーカーなのでは? と思うかもしれないが、さにあらずだ。

 よく見ると、ショーカーのMRワゴンには後輪の前辺りにエアインテークが見える。そう、この段階では、エンジンはミッドシップに搭載されていた。車名のMRワゴンというのはミッドシップのワゴンという意味だったのだ。このように量産とは異なるメカニズムの新提案という点では、ダブルウィッシュボーン・サスペンションを想定したKOPENにも通じるところだ。

 とはいえ、残念ながら2001年に量産化されたMRワゴンは、ワゴンRなどと同じFFレイアウトのプラットフォームを採用する、スタイリングだけショーカーから受け継いだモデルとなっていた。MRは「マジカル・リラックス」の意味と説明されたのは、少々無理も感じたが、ショーカーで好評だったスタイリングを忠実に再現した点は大いに評価される。

ショーモデル:ホンダEV-STER
量産モデル:ホンダS660

 2011年の東京モーターショーにホンダが出品した2シーターの電気自動車コンセプトが「EV-STER」。非常にコンパクトなEVだが、ボディサイズは全長3570mm、全幅1500mm、全高1100mm、ホイールベース2325mmと軽自動車より少々大きなものだった。

 ステアリング形状がショーモデル的で、メーター類も完全デジタルとなっているが、内外装のスタイリングは、のちにS660というターボエンジンを積んだ軽自動車のオープン2シーターに採用されることになる。メカニズム的には完全に別物だが、ショーカーがそのままの姿で量産されたと捉えられる好例だ。

 もっとも、実態としてはS660のスタイリング案としてEV-STERを先に見せたというべきだろう。EV-STERの評判がよく、ファンやメディアが「このスタイルでエンジンを積めばビートの後継モデルとしてふさわしい」と感じたことが、S660プロジェクトを加速させ、2013年の東京モーターショーではプロトタイプ的ショーカーの「S660コンセプト」というカタチで登場することになる。

ショーモデル:日産 IMk Concept
量産モデル:日産SAKURA

 前回、2019年の東京モーターショーにて日産が出品した「IMk」は、日産が軽EVを出すという宣言といえるショーカーだった。とはいえ、ボディサイズは若干ながら軽自動車規格を超えるもので、デザイン代を大きくとったことを示していた。

 日産が軽EVを開発中というのは既定路線として噂されていたので、その開発が順調であることを示すショーカーではあっても、デザイン的には量産とはかけ離れているというのが、当時の認識だったろう。

 インテリアにしても、大きなディスプレイを並べたコクピット、ドアミラーをカメラ方式としている辺り、非現実的という印象があった。水引をモチーフとしたデザインテーマも量産というよりはショーカーに限定された演出という見方もされていただろう。

 しかし、IMkが2022年に「SAKURA」という名前の量産車になったとき、ショーカーのスタイルが想像以上に踏襲されていたことに驚いた人も多かったのではないだろうか。アルミホイールの意匠はかなりショーカーのままであるし、なにより大型ディスプレイを並べたコクピットがしっかりと量産車に受け継がれたのはサプライズだったのではないだろうか。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
好きな有名人
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