この記事をまとめると
■モーターショーで発表されたスタイリングのまま販売されたクルマを紹介
■見た目はほとんど同じでもメカニズムに関しては市販時に変更されたケースが多い
■日本独自規格である軽自動車はコンセプトモデルをベースに市販されやすい
ほぼショーカーのまま販売されて度肝を抜かれたクルマたち
日本では2021年に予定されていた東京モーターショーが、新型コロナウイルスの影響でキャンセルされ、2023年にはクルマだけに限定しない新しいスタイルのショーに変わるという話もある。
とはいえ、モーターショーの華といえば、やはり未来の夢を具体化するショーカーだろう。
こうしたショーカーは大きく3タイプにわけることができる。
ひとつは、テクノロジーやデザインなどブランドの未来を見せるもの。こうしたショーカーは奇抜で、とても市販には反映されないだろうと感じられることも多い。コンセプトカーと呼ばれることが多いのが、このタイプだ。
もうひとつが、完全に市販が決まっているモデルの先見せを狙ったショーカーだ。基本のボディは同一で、アルミホイールなどディテールの変更によってショーカー的に演出しているプロトタイプ(試作車)と捉えることもできる。
その中間的といえるパターンとして、量産が確定しているわけではないが、市場の反応を見るためにスタイリングイメージを提示するというショーカーもある。この手はリサーチカーなどと呼ばれることもある。
いずれにしても、プロトタイプ的パターンのショーカーであれば、モーターショーに展示されたクルマがそのまま量産化されることは既定路線だが、それ以外のショーカーが市販に至るというのは、モーターショーでの評価が高く、市販化にゴーサインが出たときに起きうる話だ。
冒頭、東京モーターショーに触れたが、ここでは過去の東京モーターショーに登場して量産につながった4台のショーカーと量産モデルの姿を見比べてみよう。いずれも軽自動車であるのは、偶然ではなく日本のモーターショーゆえの必然だ。
ショーモデル:ダイハツKOPEN
量産モデル:ダイハツCOPEN
1999年の東京モーターショーにて世界初公開されたダイハツの軽オープン2シーターのコンセプトカーが「KOPEN」。当時、K+OPENに由来する名前といわれた。エンジンは4気筒ターボで、トランスミッションは4速ATを想定していたのは市販車的だが、電動リトラクタブルタイプのオープン機構は軽自動車としては量産が難しいと捉えられたのも事実だ。また、プラットフォームも専用設計という想定で、サスペンションは前後ダブルウイッシュボーンとなっていた。
典型的なリサーチカーといえるKOPENは十分に量産への手ごたえを得ることができたのだろう。2001年の東京モーターショーではCompact+openに由来する「Copen」へと進化したプロタイプを出展。2002年6月に量産が始まったのはご存じのとおり。そのスタイルは、1999年のショーカー「KOPEN」そのものだった。
もっとも、サスペンション形式はフロント・ストラット、リヤ・トーションビームとほかの軽自動車と共通のメカニズムになってしまっていたが……。
また、軽自動車随一のパフォーマンスを誇る4気筒DOHC+ツインスクロールターボというパワートレインを与えられたコペンだが、スパルタン一辺倒ではなく、カジュアルな軽オープンというキャラクターもあった。そのため、間口の広い2シーターオープンとなった。初代モデルだけで6万台に迫る販売実績を持つが、これは軽自動車の2シーターオープンとして歴代最高といえるものである。