N-BOXはバカ売れもN-VANは大苦戦!? ハイゼット&エブリイに大差を付けられるも「負けじゃない」と言えるワケ (2/2ページ)

軽バン市場の勝敗は電動化でどこが主導権を握るかに注目

 こうした結果を見て、ホンダはFFベースのN-VANを出すのではなく、他社と同じようなセミキャブスタイルの軽バンを用意すべきだ、という声もある。たしかに2018年夏にN-VANがデビューする以前、ホンダは軽バン・カテゴリーにはアクティやバモスホビオというセミキャブスタイルのモデルを用意していた。

 ただし、かつてのアクティがダイハツやスズキのライバルモデルと互角に戦っていたかといえば、そうではないのもファクトである。たとえば2017年度上半期のキャブオーバーの軽バン販売の数字を振り返ると以下のようになっていた。

 スズキ エブリイ 3万4549台
ダイハツ ハイゼットカーゴ 2万8252台
ホンダ アクティバン+バモスホビオプロ 4007台

 ホンダの軽バンは、勝負権がないほど不人気だったのは明らかだ。ホンダがセミキャブスタイルの軽バンを諦め、FFベースのN-VANにしたからといってライバルをキャッチアップできていないのも事実だが、アクティ時代に比べれば販売シェアにおいて大きくプラスになっていることもまた事実である。

 結論をいえば、アクティ時代以上にN-VANを売っているということは評価すべきであって、ライバルの後塵を拝していることを批判するのはお門違いといえる。アクティの状況を考えれば、ホンダはセミキャブスタイルの軽バンを出すべきという主張に勝機は感じられない。

 ホンダはハイゼットカーゴ&エブリイというライバルに真正面から立ち向かうのではなく、違う路線で勝負をかけている。その結果として冒頭でも記したようにスズキがスペーシアベースという似たようなコンセプトのニューモデルを出してきたということは、ホンダの戦略が有効であることの証左といえるだろう。

 なお、軽バンについては一気に電動化する未来も予想されている。すでにダイハツとスズキが共同開発を進めている電動・軽バンについては2023年度にも登場することがアナウンスされている。ホンダも2024年には軽商用EVをローンチするということを発表済みだ。

 もはやガソリンエンジン車で軽バン市場の勝敗を考えるフェイズは終わっている。たしかにハイゼットカーゴは2021年末にフルモデルチェンジしたばかりであるが、軽バンの電動化において、どちらが主導権を握るかに注目すべきタイミングだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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