この記事をまとめると
■中古車査定員に高評価を貰えるクルマの特徴について聞いた
■査定直前に一般ユーザーができるのは洗車
■パールホワイトのボディカラーやカメラ関係のオプションがついたクルマは高く売れる傾向にある
キズは余程大きなものでなければマイナスにならない
乗り替えのときに自分が乗っていた愛車を高く買い取ってもらいたいと思うのは誰もが同じでしょう。そのためには、実際にどのようにして中古車の価格が決められるのか、システムを理解しておくに越したことはありません。今回は中古車に与えられる評価点を定める資格を持つ中古車の車両検査員に「どんなクルマならば高評価を貰えるのか?」という疑問をぶつけてきました。
中古車検査員って?
車両検査員はそれぞれの中古車オークション会場で、各出品車に11段階の評価を与える資格を有する人です。資格と言っても明確に国家資格として定められている訳でなく、各オークション会社や会場で定められた規定をクリアした人に与えられます。会社や会場にもよりますが年一回更新で、更新の際は実技で中古車の評価を行い、実態と見合った点数が付けられるかが問われます。中古車を見ると「鑑定書」や「検査書」が表示されているクルマがあると思いますが、あの書類に付いている4や4.5といった評価点をつけるのが車両検査員です。
中古車というのは一般的にディーラーや中古車販売店で買い取られてそのまま同じ店舗で販売されるのではなく、オークション会場で業者が落札価格を参考に入札してから、各中古車店舗に出回ったり、お客様の手元に来たりします。そのため評価点がその中古車の落札価格を左右するとも言えるのです。
今回はそんな車両検査員を20年近く務めていて、中古車の価格事情にも詳しいという人物にじっくりと話を聞くことができたので、クルマ選びやカーライフの参考にしてほしい情報を紹介していきます。
査定のプラスにマジックはない
クルマを高く買い取ってもらうための「裏技」のようなものを知りたい! と思う人が多いと思いますが、そんなものはないと車両検査員は言います。
「中古車は修復歴の有無や走行距離、内外装の状態などで評価が付いて基本的な値段が決まります。一般の人が査定前にできることでグッと値段が上がるということはありません。定期的にメンテナンスと掃除をして、キレイに乗るのが一番ですね」
そんななかでも査定直前に一般ユーザーができる努力が洗車とのこと。
「洗車したから確実に買い取り値が上がるわけではないです。しかし、洗車して表面がキレイな状態ならばキズの確認がしやすくなります。この確認しやすい状況が重要なんです。査定額や点数をつけるときに確実に確認できない場合は、責任問題として低い結果になりがちです。高い結果が望めたかもしれないのに損をしてしまいます。『キズがあるから』と言ってうやむやにするのではなく、洗車後明るい場所で正々堂々と査定してもらうのが吉と言えます。もちろん、事前の洗車や室内の掃除を評価してくれて、人によっては気持ち程度ですがプラス査定になることもあります」
キズという気になるワードが出てきたが、じつはキズは余程大きなものでなければマイナスにならないそうです。
「細かなキズやへこみは販売前になじみの板金屋で直されることがほとんどです。査定前に一般ユーザーが直してから査定したほうがプラスにはなりますが、費用対効果としては良いとは言えないですね。それよりもクリアの浮きや剥げなど塗装の状態の方が査定に大きく関わってきます。濃色車の場合は目立つので、普段の手入れや保管状況が査定に重要になってきます。『室内保管』と聞いても我々が塗面を見ればそれが確かかどうかは一発で分かります。また、マイナスとなるポイントとしてはサビですね。動機関類の消耗品の傷みは走行に影響がなければマイナスとはなりません」