初代モデルからずっと丸目を継承!
3台目は、輸入車で丸目ヘッドライトを貫いているモデルといえば、MINI。すでに1959年のクラシックモデル誕生から63年が経過していて、その間にBMWが手がけるニューMINIに生まれ変わりましたが、ずっと丸目ヘッドライトを継承しています。クラシックMINIを設計したアレック・イシゴニス氏は、スエズ危機によって燃費の良いコンパクトカーの開発を急遽、任されることになり、ティータイムを過ごしていた喫茶店でナプキンにスケッチを描いて提出したところ、それがそのまま採用されたというから驚き。丸目の愛らしいMINIのデザインは、思わぬところで誕生していたのですね。
BMWが手がけるようになってからも、エンジニアたちはクラシックMINIの伝統をいろんなところに再現して、誰もが新世代のMINIだと納得する素晴らしいデザインを生み出しました。現在、3ドア、5ドア、クラブマン、クロスオーバーとたくさんのモデルがありますが、どれもが丸目ヘッドライトを継承。ボディはかなり大きくなっているのに、どこから見てもMINIだとわかるのは、そのおかげもあるのではないでしょうか。
4台目は、MINIより長い歴史のある、イタリアが生んだキュートで元気いっぱいの大衆車といえば、フィアット500(チンクェチェント)です。初代「500トッポリーノ」が生まれたのは1936年。やはり時代は世界恐慌で冷え込む中、経済的に負担の少ない小型車として投入された量産車でした。小さなサイズと丸目ヘッドライトの愛らしいフェイスから、「トッポリーノ=小さなネズミ」と呼ばれていました。
そして1957年に、現在の500の前身となる「ヌオーヴァ500」が登場。つぶらな瞳のような丸目ヘッドライトが特徴で、これは2007年に新世代の500となった際にもしっかり受け継がれています。
マニュアルをベースとした2ペダルのトランスミッション「デュアロジック」による走りは、最初はちょっとコツがいるけれど、だんだんその面白さにハマる人多数。見た目がかわいいだけでなく、乗っても個性的で楽しいところが、若い世代にも刺さる理由かもしれませんね。
さらに、2022年には500の電気自動車、500e/500eカブリオレが登場し、ちょっと「チコちゃん」っぽい丸目ヘッドライトで大人っぽい顔つきになっています。
5台目は、意外なところでずっと丸目ヘッドライトを採用しているゴツめのクルマといえば、メルセデス・ベンツ・Gクラス。軍用車をルーツとし、1979年に登場した初代からずっと、いっさいの妥協を許さないクロスカントリー・ビークルとして支持されてきました。
40年以上、基本構造を変えずに販売してきたGクラスですが、2018年にフルモデルチェンジ。でもデザインは往年の姿そのままと言ってもいいほどキープコンセプトで、もちろん丸目ヘッドライトも継承されました。
それはもちろんただの丸目ではなく、マルチビームLEDが組み込まれていて、より遠くまで明るく照らします。究極のオフロード性能を謳うにあたり、しっかり機能の一部として丸目ヘッドライトが役割を果たしていることがわかります。
そして先日、Gクラスの電気自動車となるEQGのプロトタイプが公開されましたが、やっぱりヘッドライトは丸目。穴を開ける必要がなくなったグリルにも無数のLEDが点灯していて、どこぞのテーマパークのエレクトリカルパレードのような華やかさでした。これもきっと、若い世代と熟年世代のどちらにも刺さるのかもしれないですね。
ということで、レトロブームにのって若い世代にウケつつ、リアル昭和世代にもホッと安心するような印象を与える丸目ヘッドライトのクルマたち。これからも増えるのか、減っていくのか、注目したいと思います。