72台の限定で価格は1億円超えのデ・トマソP72
スーパーカーの世界における時間の流れが驚くほどに早いことは、P72の基本構造体となるカーボンモノコックを見れば何より明らかだろう。
このカーボンモノコックは、アポロ社から2018年に発表された、インテンサ・エモツィオーネのそれと同じもので、エクステリアはアポロのそれと比較してもダイナミックな曲面が印象的なデザイン。
実際の開発には、ドイツのケルンにあるトヨタ自動車のF1マシン用の風洞実験装置も使用されたという。正確なデータはまだ明らかにされていないが、そのエアロダイアミクスが相当に優秀なことはひと目で直感できるところだ。
ミッドに搭載されるエンジンは、アポロのインテンサでは6.3リッターのV型12気筒自然吸気ガソリンが780馬力で採用されていたが、P72の場合は5リッターのV型8気筒ガソリン+スーパーチャージャーとなる。最高出力のターゲットとして掲げられている数字は700馬力以上。これに6速MTを組み合わせ、もちろん後輪を駆動する。
インテリアもいかにもイタリアンブランドらしい、ラグジュアリーで機能性に優れた設計。近年流行のLEDディスプレイなどが採用されていないのは、ユーザーによっては逆に好ましく思える部分ではないだろうか。
デ・トマソのニュルブルクリンク工場では、これから排出ガス規制への適合など開発の最終段階に入るP72。その車名から、それは往年のレーシング・マシン、P70を想起させるものであることは確かだが、シンプルにそのコピーのようなモデルを生み出さなかったのは嬉しいところ。
実際の生産は2022年中には72台の限定で開始される見込みで、価格は75万ユーロ(現在のレートで約1億645万円)。
長い沈黙を破ってスーパーカーからハイパーカーの世界へと進出してきたデ・トマソ。その成功に期待したい。