エンジンからのノイズや振動を素早く抑えられることも
シフトアップでの飛ばしシフトは、ほとんど加速時にしか使わないだろう。
高速道路や幹線道路に合流する際に、2速で加速して流れに乗れる速度になったら、3速を飛ばして4速にシフトアップするといった操作をすることがある。
2→3→4速と順番にシフトアップすると加速が緩慢になってしまうため2速で引っ張り、短距離で目標速度に到達させた上で、流れに乗った速度を維持するのに十分なギヤである4速に入れるというロジックだ。
加速時の飛ばしシフトはエンジンからのノイズや振動を素早く抑えることが期待できる。
もちろん、こうしたギヤの選択はギヤ比やエンジン特性、車両重量などによっても変わってくるので、どんなクルマでも飛ばしシフトがマッチするとは限らない。
飛ばしシフトをしたがゆえに失速してしまうこともある。そうなると流れを乱してしまうこともあり、けっして勧められる操作ではない。
あらためて、飛ばしシフトのメリット・デメリットをシチュエーションごとにまとめてみよう。
素早い加速を得るためにはシフトダウン方向の飛ばしシフトは有効で、ATでは8速→3速といった極端な飛ばしシフト制御をしている例もある。ただし、MTではエンジンがオーバーレブしてしまわないように気を付ける必要がある。
一方で、エンジンブレーキを十分に活用して減速するようなシーンにおいてはMTで飛ばしシフトを行なうメリットはなく、オーバーレブの危険性が増すだけなので飛ばしシフトは厳禁といえる。
加速時の、シフトアップ方向での飛ばしシフトについては、エンジンの回転数を素早く下がることが期待できるのがメリット。この場合、飛ばしシフトによって速度を維持できないようだと、本末転倒なのでその辺りはしっかりと見極めたい。
いずれにしても、飛ばしシフトはクラッチ操作を減らすことができるが、けっしてクラッチを保護する操作ではない。むしろ運転次第ではエンジン・クラッチ・トランスミッションなどの駆動系全般に負担をかけてしまうので、無理に飛ばしシフトをする必要はないといえる。