この記事をまとめると
■2022年10月8日〜9日に鈴鹿サーキットにてF1日本GPが開催される
■レースに合わせてホンダ製PUを搭載するF1マシンを操るドライバー4名が来日
■メディア向けのQ&Aセッションに参加し、ここでしか聞けない話をぶっちゃけた
3年ぶりの鈴鹿サーキットに選手たちは大興奮
2022年10月8日(土)〜10月9日(日)、日本が世界に誇るテクニカルサーキットである「鈴鹿サーキット」にて、世界最高峰のモータースポーツであるF1の第18戦目となる「Honda日本グランプリ(以下日本GP)」が開催される。なお、同レースはコロナウイルスの影響もあり中止が続いていたため、3年ぶりの開催だ。チケットはすでに完売していることからも、その人気を伺うことができる。まさに日本のモータースポーツ界で最大級のイベントと言っても過言ではないだろう。ちなみに、「Honda」とつくのは、今大会のタイトルスポンサーを務める関係があるからだ。開催地がホンダの聖地とも言える鈴鹿サーキットなので、タイトルスポンサーを冠していることはファンとして嬉しいポイントである。
そんな日本GPの開催に先立って、ホンダ製PU(パワーユニット)を搭載する「スクーデリア・アルファタウリ」と「オラクル・レッドブル・レーシング」のドライバー計4名が、10月5日に東京の渋谷にて関係者のみを招待して行われたトークショーに参加。その模様をお伝えしよう。
今回のトークショーは「Q&A」セッションがメインとなっていることから、事前に関係者からいくつかの質問を受け取り、それに答えていくという流れで行われた。
最初は、久々の日本人F1ドライバーとして大活躍している角田裕毅選手と、日本でSF(スーパーフォーミュラ)での出走経験を持つピエール・ガスリー選手が所属する「スクーデリア・アルファタウリ」のセッションからスタート。
まずは両名に「鈴鹿で開催される日本GPへの意気込みは?」との質問が始まった。
ガスリー選手は「鈴鹿はSFで何度も走っている思い出のあるサーキットのひとつとして、さまざまな思い出が残っている。当時ほぼ無名だったはずの僕にも日本のファンが大勢集まってくれたのはとても嬉しかった。今でも日本のファンには感謝しているので、いい走りを見せたいね」とのこと。
角田選手は。「鈴鹿をF1で走ることは小さい時からの夢だったので、それがようやく叶います。なにせ、ファンとしてずっと通って見ていたレースでもあるので、その思いは人一倍強いです。当日はファンの皆さんに喜んでいただけるようなアグレッシブな走りを見せたいと思いますので、応援よろしくお願いします」と意気込みを語ってくれた。
続いて、「鈴鹿に対する印象や思い出はありますか?」との質問。
この質問にガスリー選手は、「印象としては、あんなにアドレナリンが出るエキサイティングなコースは鈴鹿以外ないと思っている。思い出としては、SFに参戦し始めた当時、当時ほぼ無名だったはずの僕にも日本のファンが大勢集まってくれたほか、僕自身でもいつのかわからないような昔の写真を大事に持っていてくれているファンもいてとても嬉しかった。今でも日本のファンには感謝している。嫌な思い出としては、2017年のシーズン終わりにポイントリーダーと0.5ポイント差という僅差だったのにも関わらず、台風で出走できずにチャンピオン争いができなかったことだね。今回の大会でもっといい走りをしてその思い出を払拭して、いい思い出を残したいね」
角田選手は「鈴鹿はとても思い出深い場所ですね。レーシングスクールなどを含めて世界で1番走ったコースだと自負しています。数千から数万周は走っているほか、コーナーの性質やバンプなどの情報もすべて持ってます。これが今回の日本GPでいい方向に働くかなと。最後に走ったのは2017年にF4で走ったのときですが、この時は2分7秒前後。F1だとこれより40秒近く速いので、2、3倍早送りしたような感じで全然違います。自分にとって新しい鈴鹿が見られるかなと思ってます。ベストレースは2018年の鈴鹿で優勝したことですね。予選ではコースレコードも取れて、決勝も2位から抜き返したあとすぐにクラッシュがあり、セーフティカーが入ってそのまま終わった形で勝てたので、『あの時抜かしておけばなぁ』というモヤモヤが残らなかったのもよかったですね」
3つ目。こちらは「鈴鹿で好きなコーナーはありますか?」という問い。
これにはガスリー選手は「1コーナーから7コーナーあたりまでの第1セクターです」とのこと。
角田選手は「全部好きですけど、やっぱ1コーナーを含めた第1セクターですね。あれほどの場所はどのコースでもないですね。デグナーも一部凹みなどあってマシンが乱れる場所などあるので、そういった場所を探りながら走るのも楽しいですね」と、鈴鹿を知り尽くしたドライバーならではの答えが返ってきた。
4つ目の質問として、「オーバーテイクのポイントはありますか?」と、世界最高峰のプロドライバー2名に直撃。
ガスリー選手はここで「トップを走って、そもそも僕が抜くような展開にならないようにしたいね(笑)」と、本気なのか冗談なのかわからない攻めの回答が。「リーダーでなければ最終のシケインから1コーナーまでの間かな」とのこと。
角田選手は「ピエーエルは知っておいたほうがいいけど、前を走るのは僕だから(笑)」と、こちらも譲らない回答。「もし抜かすなら1コーナーか、シケインでブレーキングを生かして抜きたいし、それがドライバーの僕的には好きな走り方です」と、走り出す前に注目しておきたいポイントを語ってくれた。
5つ目には「悔しかったレースや良かったレースなど最近の動向はどう思うか」という質問。
ガスリー選手は「昨年よりマシンの調子がイマイチだったり、チームの方向性を変えた影響で思うような結果にならなかったのは事実。しかし、ここ4レース中3レースは調子いいので、鈴鹿もそのペースで行きたいね」
角田選手からは「アゼルバイジャンのレースですね。このレースで発生したトラブルの影響でノーポイントなのが痛かった。よかったのは今年前半のイモラでのレース。予選の順位はよくなかったが、決勝では7位だったのでそこがよかった。オーバーテイクが多く決まったので、今後の糧になりました」と語った。
そのほかに、「日本に来てしたいこと、食べたいものは?」といったF1以外の質問も問いかけた。
ガスリー選手は「シンガポール直後なのであまり時間がなかったほか時差がキツい。昨日はユウキとカラオケに行ったよ(笑)。今週の思い出は何が起こってもこれが1番だろうね。本当は渋谷とか新宿で買い物もしたいけどちょっと今回は厳しいかなぁ。なので、今シーズン後に日本で開催されるホンダ・レーシングサンクスデイのついでに来ようかなと検討中」と多忙なトップレーサーならではの悩みを吐露。
故郷に久々の帰還となった角田選手は「昨晩のカラオケは……酷かったのでもっと練習したいですね(笑)。サンクスデイのタイミングでリベンジしたいです。ガスリーが言ってた新宿や渋谷もそうですけど、表参道や原宿、中目黒とかにも連れていきたいですね。ちなみに、僕はもつ鍋が大好物なのでそれは初日に食べました。鈴鹿に行ったら松坂牛を食べたいですねやっぱり。ちなみに食べたいものリストを作ってあります」と、多忙のなかでなんとかして故郷の食べ物を楽しみたいとのことだ。
最後に両名に日本のファンへひと言を質問。
角田選手は「来期も走れることになったのでひと安心です。これにより大きな悩みごとも減りました。本田技研工業株式会社やレッドブル・ジャパン、スクーデリア・アルファタウリには感謝しています。ありがとうござます。最近自分で”1発の速さ”に関しては成長できてるなと実感してきており満足しつつあります。もっと上を目指して成長したいですね。あと残り5レースも落ち着いて終えたいなとも思ってます。ガスリー選手からいろいろ学びつつ、来年に繋がるような走りをしていきたいです」
ガスリー選手からは「日本には多くのファンがいることに、心から感謝したいと思ってます。私のファンには日本の方々が多く、海外のレースにまで来てくださっていることも知っています。鈴鹿に来ていただいた方々にエキサイティングなパフォーマンスを見せて、今まで会えなかった分だけいい結果を残してお祝いできるようにしたいです」
と、限られた時間ながら多くのことに答えて頂いた。