もっとも多く生産されたクルマとは?
「最長走行距離を誇るクルマ」
1台のクルマが刻んだ距離としてギネスに認定されたのが482万8000km! クルマはボルボの古いクーペ、P1800というから二度ビックリです。しかも、エンジンブロックやミッションさえも交換なし! ユーラシア大陸を横断するような輸送トラックが200万kmというのは聞いたことありますが(これまたボルボ製が少なくありません)、それでも重整備でいろいろ交換しているはずなので、ちょっと信じがたいケースではあります。
この66年式のP1800、オーナーはイギリス人のアーヴ・ゴードン氏なんですが、47年間どこを走ったら400万kmも伸びるのでしょう。年間10万km以上となると、月に1万kmは走るわけで、東京~鹿児島(片道約1400km)を毎月5往復って感じ?
この記録が公認されてから、イギリスではP1800の人気がにわかに上昇、というわけでもなかったようですが、天井3万5000ポンド(約550万円)グズグズで5000ポンド(70万円程度)というのはなんだかムズムズしがちな価格帯。いっちょ500万km目指して鹿児島往復するのも楽しいかもしれませんね。
「片輪走行のチョッ速ギネス」
こちらもイギリスのギネスなんですが、ちょっと日本人には理解しがたい「片輪走行での1マイル最速記録」というやつ。いわゆるスタント走行の一種で、グッドウッド・フェスティバルでのショーコンテンツとしてお披露目されたといいますから、イギリス人にとってはわりとポピュラーなチャレンジなのかもしれません。日本人でいえば、さしずめ「わんこそば制限時間内に何杯?」みたいな位置づけでしょうか。
2分24秒5という記録を樹立したのもまたイギリス人のスタントドライバー、テリー・グラント氏。でもって、片輪走行のパートナーとされたのがレンジローバースポーツSVRというそもそもからして速いクルマ。片輪とはいえ、パワーやトルクがあったほうが速度を競う記録には向いているのでしょう。ちなみに、それまでは2分55秒という記録がトップだったのですが、じつはこれもグラント氏が樹立したもの。クルマは日産ジューク ニスモRS(ジュークはイギリスでとても人気があるそうです)だそうですから、片輪走行というのはコツさえ覚えたらFFだろうと4WDだろうとあまり関係なさそうですね(もっとも、グラント氏はこのジュークで未公認ながら2分10秒という記録もあるようです)。
なお、片輪走行についてのギネス記録はこの他にも最速走行(186.269km/h)や最長距離走行などバラエティに富んでいます。やはり、わんこそば並みにとっつきやすいギネスといっても過言ではなさそうです。
「世界最多生産車」
クルマ好きなら、このタイトルだけでVWビートル・タイプ1のことだと察しがつくことでしょう。もちろんその通りで、2152万9464台というとてつもない記録はあまたあるクルマ関連のギネスでも、この先ずっと破られることはないでしょう。
やはり、長期にわたる生産期間が奏功(1938~2003年)しているかと思いますが、VWとしては初代ゴルフが出来上がるまではビートルのほかに売れそうなクルマがなかったという苦労もありました。また、海外への輸出やブラジル、メキシコといった拠点での生産も追い風となったに違いありません。ビートルの生産設備や工程が第二次大戦時(フォルクスヴァーゲンとして生産されていた頃)と大きく変わらなかったこともそうした国々にとって有利に働いたことも否めないでしょう。メキシコ・ビートルやブラジル・ビートルは、当時こそ並行モノで、なんとなく貧乏くさかった記憶もありますが、今となっては「欲しい」クルマのリストに載せている方も少なくないのでは。
ところで、これだけの生産数を誇るビートルですから、まだギネスに申請や公認がなされていない記録もあるはず。たとえば「ヤナセ取り扱い車種のなかでももっとも売れたクルマ」とか「マイナーチェンジ回数世界一」とかね。欲しいリストに載せた方は、そんな隠れた記録を探してみるのもまた一興かもしれません。