回生モードの活用で航続距離が大きく変わる
ところで先般、日産サクラの試乗をした際、1kWhあたりの走行距離がオンボードコンピュータ上で9km/kWh台の数字を示した。この数字は、諸元表の交流電力消費率から計算した8.06kmを上まわる数字だ。このとき、ワンペダル操作となるe-Pedalを使って運転している。
このようにEVでは、より積極的に回生効果を得られる運転をすることにより、WLTCでの交流電力消費率を上まわる実走行も不可能ではないのがわかる。サクラ試乗のときは、モード走行と違って空調を使っている。それでも9km/kWh台の電力消費で走れたのだ。
このオンボード上の9km/kWhの数値に、車載の20kWhのリチウムイオンバッテリー容量を掛け算すれば、180kmと答えが出て、実用でも諸元数値と同様の一充電走行距離が不可能ではない様子が見えてきた。もちろん、登り坂や下り坂などの走行条件で値が変わる可能性は大きい。
そのうえで、実際に移動途中であと何km走れそうか考えるとき、充電残量をパーセントで示すSOC(ステイト・オブ・チャージ=充電残量)の表記が重要性を帯びる。EV利用にとって、不可欠の指標だ。
エンジン車も、運転者のアクセル操作ひとつで燃費が違ってくる。EVではさらに、運転者の技量だけでなく回生を有効活用するワンペダル操作をいかに活用できるかによって、一充電走行距離に大きな差が出ることになる。
つまり、エンジン車とEVでは運転の仕方が違ってくるこということだ。ここを理解せず、安易にエンジン車を運転する感覚でワンペダル操作の不満をいうだけでは、これから普及していくEVを使いこなすのは難しいかもしれない。