この記事をまとめると
■EVの航続距離は1kWあたりの走行距離にバッテリー容量を掛ければ計算できる
■ただしカタログ記載のバッテリー容量は充電器からの充電量であり実際のバッテリー容量ではない
■EVは回生を有効活用するワンペダル操作の活用により一充電走行距離に大きな差が出る
カタログのバッテリー容量とは充電量のことだった
電気自動車(EV)の一充電走行距離は、諸元表にあるWLTCモード測定による1kmあたりの交流電力消費率Wh(ワット・アワー)から、1kWhあたりの走行距離を計算し、これに車載のリチウムイオンバッテリー容量を掛けると算出できそうだ。
たとえば、日産サクラや三菱eKクロスEVのWLTCにおける交流電力消費率は、124Wh/kmである。ここから、1kWhの電力で走れる距離を計算すると、8.06kmとなる。これに、車載のリチウムイオンバッテリーの容量である20kWhを掛けると、161.2kmとの計算だ。しかし、諸元表ではWLTCで最大180kmと表記されている。20km近く余計に走れる数値だ。
その差は、どのように生まれるのだろう?
日産自動車に問い合わせたところ、じつは交流電力消費率は、充電器側から入れなければならない充電量を指しているというのである。充電器から車載のリチウムイオンバッテリーへ充電するには、外部からの交流電流を直流電流に変換しなければならない。ここで、エネルギーの損失がある。それを加味したのが、交流電力消費率なのだそうだ。
したがって、サクラのリチウムイオンバッテリー容量である20kWh(キロ・ワット・アワー=2万Wh)を、一充電走行距離の180kmで割り算すると、111.11Wh/kmになる。諸元表での交流電力消費率は124Wh/kmだから、1km走行するのにより多くの電力消費率となっていることがわかる。
諸元数値の決め方は、EV共通の方式なので、日産サクラに限らずほかのEVにも当てはまるとのことだ。