メルセデス・ベンツが突き進むEV戦略! ミドルクラスセダンEQEを発表 (2/2ページ)

電気自動車専用のプラットフォームを採用!

EQEのエアロダイナミクス

 EQEの優れた空力を実現するディテールは以下のようなものが挙げられる。

・エアロダイナミクス的に有利なサイズやジオメトリを最適化したタイヤ

・エアロダイナミクスを考慮したホイール

・フロント部に施した連続シール(サービスフラップ、ブラックパネル、ヘッド
ライトの間など)

・A ピラーの流線形デザイン

・トランクリッドスポイラーリップにより、リヤアクスルに働く揚力と空気抵抗をともに低減

 快適性を損なう低周波ノイズを防ぐために、ボディの構造部の空洞部分の多くに防音発泡材を充填。高周波の風切り音に対しては、ドアやウインドウのシールに特殊な防音対策を施している。6枚のサイドウインドウの間に施したシールは特に留意した部分だという。

 ボディ面に格納されるドアハンドルやウインドウ支持部、取り付け位置が高いドアミラーについても、ノイズの最適化を図っている。

 Aピラーには、フロントウインドウとの境目に特殊な形状のゴム製トリムを取り付けることで大幅なノイズの低減を実現。この開発においては、先進的な気流シミュレーションに加え、風洞内で特殊なマイクロフォン配列を使った外部ノイズ測定を支援ツールとして活用。Aピラーは、風切り音を改善するだけでなく、Cd 値の低減やウインドウに汚れをつきにくくする上でも重要な役目を果たしている。

EQEのパワートレイン

 EQE 350+ はリヤアクスルに電動パワートレイン(eATS)を搭載し、最高出力292馬力[215kW]を発生する。航続可能距離は624km。電気モーターには永久磁石同期モーター(PSM)が採用されている。PSMでは、ACモーターのローター(回転子)に永久磁石が取り付けられているため、ローターには通電の必要がない。電気モーターは三相の巻線を2つ備える六相式を採用しているため、きわめて強力だ。

 メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+はフロントとリヤにeATS を備えており、最高出力は625馬力[460kW]を発生する(RACE START 使用時は最大687馬力[505kW])。航続可能距離は526km。トルクシフト機能によってフロントとリヤの電気モーター間で駆動トルクの連続可変配分が行われるため、前後駆動力配分は常に効率的かつ最適化されている。

EQEの回生ブレーキ

 EQEでは、回生ブレーキによる運動エネルギー回収をさまざまな方法で行うことができる。アクセルペダルを戻した際やブレーキペダルを踏んだ際に、高電圧バッテリーの充電を行う。加えて、ドライバーはステアリングホイールのシフトパドルを使って、回生ブレーキによる減速度を3段階(D+、D、D-)で設定できるほか、コースティング機能を選択することも可能。このほか、前走車との車間距離、登坂・降坂などの道路状況などを加味し、最適な強度の回生ブレーキを行うD Autoモードも選択できる。

 またECO アシストでは、状況に応じて回生ブレーキの最適化を実行。もっとも効率的な運転スタイルとなるように減速の強弱を自動調整し、たとえば先行車を検知すると、先行車との車間距離を調整しつつ先行車が停車に至るまで可能な限り追従していく。

EQEの4MATIC+

 4MATIC+では、トルクシフト機能によってフロントとリヤの電気モーター間で駆動トルクの緻密な連続可変配分が行われる。前後のeATS は相互独立に調整可能であることから、前後輪に必要な駆動トルクを毎分1 万回の頻度でチェックし、必要に応じて前後の駆動力配分を最適化する。電気信号による制御のため、機械式四輪駆動システムに比べてはるかに速い反応が可能となる。

EQEのサスペンション

 EQEのサスペンションはフロントに4リンク式、リヤにマルチリンク式を採用。また、連続可変ダンピングシステムADS+とエアサスペンションを組み合わせたAIRMATICを標準装備している。

 AIRMATIC によるセルフレベリング機構は、乗員や荷物の重さに関係なく地上高を一定に保つものだが、必要に応じて変化させる。たとえば、コンフォートモードでは120km/h 以上の高速走行時には10mm、また160km/hを超えるとさらに10mm車高を下げることで空気抵抗を低減し、操縦安定性を高める。車速が落ちて80km/hを下まわると、もとの車高に戻る。なお、40km/h以下では、ボタン操作により車高を25mm上げることが可能。ただし、50km/h以上になると、自動で下がり通常の車高に戻る。

EQEのリヤ・アクスルステアリング

 EQEは小回り性能をさらに良くするためリア・アクスルステアリング(EQE 350+は最大10度、EQE 53は最大3.6度)を採用。これはステアリング操作だけではなく、ブレーキやサスペンションなどの車両ダイナミクスコントロールに統合制御されている。

EQEのダイナミックセレクト

 EQEは、パワートレインやESP、サスペンション、ステアリングの特性を個々のドライバーが好みに合わせて変更できる。ドライブモードの切り替えは、メディアディスプレイの下端にあるスイッチで行う。EQE 350+のドライブモードの標準設定はComfort、Sports、Eco、Individual 、EQE 53には、Comfort、Slippery、Sports、Sports+、Individual が用意されている。

EQEの電気自動車専用プラットフォーム

 バッテリーはアンダーボディ内の衝突に対して保護された部分に置かれており、側面のアルミニウムの押出成型材などボディシェル構造内に組み込まれている。

 電動パワートレイン用モジュールには、フロントとサイドのエネルギー吸収構造と高剛性の二重壁ベースプレートを備えるハウジング内に収納され、保護効果をさらに高めている。また、日常走行に対応した多段階安全システムも搭載。これは、温度や電圧、絶縁状態などを監視する統合安全監視システムで、エラーが発生した場合にバッテリーを停止する。

EQEの大容量リチウムイオンバッテリー

 EQE 350+のリチウムイオンバッテリーはエネルギー容量90.6kWhで、これにより航続距離624kmを達成。バッテリーは電気自動車にとって中核を担う技術であり、メルセデスはバッテリー本体だけでなくバッテリーを管理するソフトウェアも自社開発している。

 メルセデスAMG EQE 53 4MATIC+のリチウムイオンバッテリーもエネルギー容量90.6kWhで、航続距離は526kmとなる。

 両グレードは6.0kWまでの交流普通充電と、150kWまでの直流急速充電(CHAdeMO規格)に対応している。

EQEの高電圧システム

 バッテリーと高電圧ケーブル、その他の高電圧コンポーネントは、事故が発生した際にメルセデス・ベンツの厳格な安全要件を満たすよう、設計・保護されている。

 高電圧システムの多段階保護方式は、すでにメルセデスEQのほかのモデルでも実績を上げているもので、危険が発生すると自動で電源OFFとなるほか、バッテリーとの接続が遮断される。高電圧システム遮断時には、残留電圧による傷害を避けるため、バッテリー以外の高電圧システムから数秒以内に確実に放電されるよう対策が施されている。

EQEの給電機能(V2H/V2L)

 日本仕様の特別な機能として、EQEから車外へ電力を供給できる双方向充電が可能。EQEは家庭の太陽光発電システムで発電した電気の貯蔵装置となるほか、停電した場合などに、電気を家庭に送る予備電源としても利用できる。なお、給電はMBUX設定画面よりバッテリー残容量10%から50%まで10%単位で設定可能。

EQEの安全運転支援システム

 EQEには以下などの安全運転支援システムが採用されている。

「インテリジェントドライブ」

・ アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック (自動再発進機能付)

・ アクティブステアリングアシスト

・ 渋滞時緊急ブレーキ機能

・ アクティブレーンチェンジングアシスト

・ アクティブエマージェンシーストップアシスト

・ アクティブブレーキアシスト(歩行者/飛び出し/右折時対向車検知機能付)

・ 緊急回避補助システム

・ トラフィックサインアシスト

・ アクティブレーンキーピングアシスト

・ アクティブブラインドスポットアシスト(降車時警告機能付)

「その他」

・ ドライブアウェイアシスト

・ 360°カメラシステム

・ メモリーパーキングアシスト

EQEの価格

 EQE 350+が1248万円、EQE53 4MATIC+が1922万円(税込み)。


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