なんとエンジンフードがガルウイングの衝撃! デ・トマソ・マングスタは中身もスーパーだった (2/2ページ)

世にも珍しきガルウイングのエンジンフード

 ヴァレルンガの生産は1965年に始まるが、この時すでにデ・トマソの内部では、というよりもヴァレルンガで確立されたデ・トマソ、フォード、ギアのコラボレーションによる、さらに大型なスポーツカーの開発計画が進められていた。

 それが1966年のトリノショーで発表された「マングスタ」で、シャシーはヴァレルンガから、さらにサイズを拡大したバックボーンフレームが基本。

 ミッドにはフォード製の4728cc 4バレルのV型8気筒OHV。10.5の圧縮比から得られた最高出力は305馬力と高性能で、これに5速MTを組み合わせ、わずかに985kgの車重に収められた車体を250km/h以上の最高速にまで到達させた。

 ちなみにトリノショーの時点では、搭載エンジンは4778ccのフォード製とされ、ウェーバー・キャブレター付きが418馬力、デカルミ製燃料噴射を組み合わせた仕様では、じつに437馬力と506馬力の最高出力を選択できると紹介され、最高速は300km/hに迫ると紹介されたのだから、マングスタはこのショーでのひとつの華となったことは想像に難くない。

 ギアに移籍直後にあったジョルジョット・ジウジアーロによるデザインもまた、マングスタでは高評価を得た部分だった。エンジンカバーがガルウイング方式で開くのは、実際にマングスタのエンジンルームの大きさを見れば自然と理解できようともいうべきものだが、それもまたこのマングスタの大きな個性でもある。

 マングスタの生産は後継車のパンテーラが1970年にデビューしたことを受けてこの年に終了するが、生産台数はわずかに400台前後だったとされている。

 その性能を考えれば、デ・トマソの残した貴重なスーパーカーともいえるマングスタ。それを実際に見るのはなかなか難しいことだ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

新着情報