走行37万キロ! ジェミニ イルムシャー以上に欲しいクルマが出てこない! モータージャーナリストの愛車インプレ【すぎもと たかよし編】 (2/2ページ)

80年代らしいギミックも!

 3つ目は、イルムシャー、ロータス共通のMOMOのステアリングとRECAROシートです。当時新車価格は160万円程度でしたが、よくもこんな贅沢品を装備したなと思います。RECAROは若干幅の狭い専用設計らしいのですが、それでも疲労の少ない座り心地は確かなものです。

 4つ目は、イルムシャー用に開発されたターボエンジンでしょうか。120馬力という数字こそいまでは「普通」ですが、わずか930kgのボディには十分で、高速走行でも余裕のある走りが堪能できます。ローとハイの出力切り替えスイッチは、いかにも80年代らしいギミックですね(笑)。

 もちろん、発売からすでに36年を経過した文字どおりの「旧車」ですから、それなりに故障もします。熱に弱く、購入直後にはオーバーヒートもしたし、クラッチワイヤーが切れたり、錆が見つかったり。また、当然ですがいまや内外装、機関とも新品パーツ類の供給は絶望的です。それでも毎日の通勤など普段使いがいいのか、決定的な故障はなく、走行距離は間もなく37万キロに届きます。

 今年は少しずつガス漏れをしていたエアコンをついに修理しました。パーツがないのでコンプレッサーなどは現物修理ですが、いまでもこうした旧車に対応してくれる業者さんには本当に感謝ですね。

 旧車乗りには「あるある」ですが、こうして乗り続けているのはジェミニ以上に欲しいクルマがないからです。このスタイルとパッケージングを超えるクルマが見当たらない。もう還暦を迎え、より快適で安全なクルマに乗りたい気持ちは大いにあるのですが……。どこか、コンパクトで魅力的なセダンを作ってくれるメーカーさんはいませんか?


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

愛車
いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
趣味
オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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