自動車産業に従事している誇りが日米では大きく異なる
フォードではスーパーデューティピックアップのフロントガラスに、“スーパーデューティのふるさと”という一文の入った、ケンタッキー工場製を示すステッカーが貼ってあった。
またステランティスグループのジープワゴニアのボンネットを開けると、“BORN IN AMERICA”とともに、“開発はミシガン州オーバーンヒルズ”、“生産はミシガン州ウォーレン”と記されたプレートを発見した。
過去には、フォードマスタングのコブラ仕様を試乗したときにボンネットを開けると、“私がエンジンを組んだ”といった内容のステッカーに手書きで名前が書きこまれていてなんだか感動したのを覚えている。
アメリカというか、筆者が見た限りではフォードのケースだったのだが、お父さんがピックアップトラックの生産ラインで働いていて、そこで息子さんへ納車予定の車両がきたので自筆でメッセージを書き込んでラインオフさせたといったニュースを見たことがある。こんなことを日本の生産現場で行えばたちまち大問題になるが、アメリカでは“温かい話題”として取り上げられるようだ。フォードの生産現場に代々従事するという“職人気質”といった家族も多いようで、今回の新型マスタングのワールドプレミアでは、お祖母さんもかつてマスタングの生産に携わり、自身も携わっているという女性が登壇し紹介されていた。
日本のものづくりの現場といえば、“非正規雇用”や“外国人労働者”など、あまり印象の良くない話題が取り上げられることが多いが、ことアメリカ、とくに自動車の生産現場はいまもなお“誇れる仕事”となっているようである。
アメリカ車だけでなく、アメリカも大好きな筆者はオートショーだけでなく、普段日本でアメリカンブランドの撮影車両を借りた時には、どこの工場製かを記すステッカー探しや、車両に“MADE IN USA”と書かれていたりする場所を探すのを楽しみにしている。