この記事をまとめると
■道交法は状況に合わせてアップデートされていく
■あおり運転の罰則強化はその代表例
■改正時は話題になったものの、忘れられがちな内容を振り返る
道交法の内容は適宜アップデートされる
法律は旧態依然とした内容のままで問題視されることもあるが、時代に合わせてアップデートされていくこともある。とくに社会問題化すると、意外に対応は素早く、あおり運転の罰則強化はその代表例だ。改正された場合、施行されるのは新年度が始まる4月からということが多く、半年経った現在(2022年9月)、改めて振り返ってみようと思う。改正時は話題になったものの、少々忘れられ気味のものもあるので、思い出してみるのもいいだろう。
アルコールチェック
これは千葉県八街市で2021年6月に起こったトラックによる小学生の死亡事故を受けたもの。いわゆる緑ナンバーの運送業者には以前から点呼時のアルコールチェックが義務付けられていたが、自社内での運搬などに使われている白ナンバーも義務化された。対象は乗車定員が11人以上の白ナンバー車1台以上か、白ナンバー車5台以上を保有する企業で、アルコールチェッカーの使用と記録保管が義務付けられた。意外に負担は大きくて、業界としてはけっこう大きな話題となった。ただし、現場直行などの場合はどうするかなど、完全な内容ではないという指摘もある。
高齢運転者対策の充実・強化
これは5月から施行されたもので、今までの適性試験に加えて、75歳以上で、ある一定の違反歴がある場合、運転免許証更新時に運転技能検査などを受けることが定められた。運転技能検査などとあるのは、都道府県の公安委員会の運転技能検査のほか、公安委員会の認定を受けたものが行う同等の試験を受けてもいいから。パスできない場合は免許更新がされないというものだが、適用は普通自動車対応免許の保有者で、パスできない場合、原付などは残せたり、免許証の有効期限より以前の6カ月以内なら何度でも受験できるなど、不十分ではないかという指摘もある。また合わせて、衝突軽減ブレーキなどの機能が付いたクルマのみ運転できる安全運転サポート車等限定条件付免許も導入された。
運転免許の受験資格の見直し
以前より問題視されていた大型免許・中型免許・第二種免許の受験資格が見直された。特別教習を修了すると受験資格が「21歳以上・普通免許等3年以上」から「19歳以上・普通免許等1年以上」へと緩和されるというもの。加えて21歳までを若年運転者期間として、違反を繰り返すなどすると、特例が取り消されることも定められた。
その他、閣議決定済みの法律
すでに施行されていると思われがちなものもある。代表例が電動キックボード。これは一定要件を満たす電動キックボードにおいて、16歳以上であれば免許不要、ヘルメットも任意になるというものだが、今年の4月に法改正されて、現在は一部地域で実証実験が行なわれているのみ。改正から2年以内の施行を目指すとしており、施行されるのは早くても来年度中だろう。
そのほか、自動運転のレベル4が特定の条件下で公道走行が可能になるのは、同1年以内。マイナンバーカードとの免許証の一体化も話題になったものの、こちらは規定整備を同3年以内に施行するというもので、先の長い話となっている。