この記事をまとめると
■カローラクロスはトヨタのコンパクトSUV
■2021年9月に発売され、大いに話題となった
■現在の販売状況について解説する
現在ノーマルエンジンの納期は約1年後
最近はSUVが人気のカテゴリーとして注目され、とくに価格が割安で運転しやすいコンパクトな車種が売れ筋だ。その意味で2021年9月に発売されたカローラクロスは、大いに話題となった。
しかし最近は注目度が下がったように思える。カローラクロスのあとに、直列6気筒エンジンと後輪駆動のプラットフォームを新搭載したCX-60、圧縮比を変化させるターボエンジンを発電用に使う贅沢なエクストレイルなど、話題性の高いSUVが登場した影響もあるだろう。
そこで改めてカローラクロスの売れ行きを見ると、2022年1〜8月の1カ月平均登録台数は約5200台だ(カローラセダンやワゴンのツーリングを除く)。そして2021年9月に発売された時に示された月販基準台数は4400台だったから、現時点でもクリアしている。
そしてツーリング、セダン、5ドアハッチバックのスポーツ、継続生産型のアクシオ&フィールダーを含めたカローラシリーズ全体で見ると、カローラクロスの販売比率は50%近くに達する。つまりカローラクロスは、話題性は乏しいものの、今でもカローラシリーズの国内販売を支える売れ筋モデルだ。
ただし販売店にカローラクロスの状況を尋ねると、別の事情も見えてきた。「今はカローラクロスの納期がきわめて長い。ノーマルエンジンは約1年を要する。ハイブリッドは1年以上に達したから受注を停止した。仮に今後も受注を続けると、2023年の秋に予定している改良後の仕様になってしまう。改良後の性能や価格は現時点では不明だから、受注はできず、カローラクロスハイブリッドは停止することになった。ノーマルエンジンも時間の問題だ」。
このように今のトヨタでは、改良やマイナーチェンジを控えたカローラクロスからフルモデルチェンジを予定するプリウスまで、さまざまな車種の受注が停止している。販売店からは「もはや売るクルマがない」という話まで聞かれる。
新たな受注を停止しても、今まで受注した車両の納車は行う。従って毎月の登録台数は計上されるが、その数は次第に減っていく。カローラクロスならば、街中で頻繁に見かける状態になるまでの時間も長引く。
現時点でカローラクロスの登録台数は1カ月平均で5000台を上まわり、カローラシリーズの約半数を占めるから販売は好調といえるが、ノーマルエンジンまで含めて受注が完全に停止すると状況は変わる。ますます話題性が乏しくなる。納期が極端に長引くと、TV・CMも放映されなくなり、媒体への露出も減って存在感が薄れてしまう。
気になるのは今後の見通しだ。納期遅延の原因になっている半導体、ワイヤーハーネス、塗料、樹脂などの供給不足はいつまで続くのか。メーカーの開発者に尋ねると「予想できない。現時点で供給が安定している品目でも、いつ滞るか分からないから、対策を立てられない」という。今は新車に乗り替えるなら、愛車の車検満了の1年以上前から、商談する必要がある。新車を買うのが難しい時代になった。