この記事をまとめると
■アルファロメオは1989年のパリサロンで公開した「ES30」を「SZ」として発売した
■ザガートの名が与えられたが、関係性はフロントに同社のエンブレムが掲げられるのみ
■約1000台を販売したSZに続き、オープンモデルのRZも約230台が販売された
毒気の強いスタイリングで「モンスター」と呼ばれたSZ
あれは1989年秋に開催されたパリサロンでのこと。そのザガート・ブースで「ES30」とネーミングされたコンセプトカーが発表されたときの衝撃を、オレはいまでも忘れることはできない。
それは近い将来、アルファロメオのプロダクションモデルとしてデビューを飾るのだろうという期待が半分。それにしても奇抜にすぎるスタイルが、それまでのアルファロメオと何の関連性も持たないところに、ただのショーモデルかと一抹の不安を覚えたのが半分。そしてなぜかこのクルマの、毒の強い姿に惹きつけられて、その場をなかなか立ち去れない。ES30とのファーストコンタクトはこんなものだったと記憶している。
ES30、すなわち「エクスペリメンタル・スポーツカー・3.0L」を意味していたこのコンセプトカーは、見事にこの年のパリサロンで主役のひとつとなった。最終的にその好意的な反響から、アルファロメオ、いや実質的にフィアットはES30の量産化を決定。フィアットのチェントロ・スティーレ(デザイン・センター)で、マリオ・マイオーリ率いるチームが、そのスタイリングのリニューアルを行った。
新たな車名は「SZ」。それはもちろんスプリント・ザガートの意であるが、過去のジュリエッタSZと何ら歴史的な関連性があるわけではない。ザガートとの関係も、フロントに同社のエンブレムが掲げられるのみだ。