この記事をまとめると
■1988年から5代続いた日産のフラッグシップセダン「シーマ」の生産が終了する
■初代シーマは専用の3ナンバーボディに大排気量V6エンジンを搭載して爆発的にヒットした
■そんな初代モデルの車名は「セドリックシーマ/グロリアシーマ」だった
バブル景気の恩恵を受けて大ヒットしたのが懐かしいシーマ
2022年8月をもって一旦その歴史に終止符を打つこととなった日産のフラッグシップセダンのシーマ。5代目となる最終型は実質的にはフーガの兄弟車種となってしまっていたが、4代目までは専用装備も多く持つ、技術の日産を体現するようなモデルとなっていた。
そんなシーマのエピソードを語るうえで欠かすことができないのは、やはり1988年に登場した初代モデルだろう。
当時は高級車であっても5ナンバーサイズのボディであったことが当たり前だったところに、専用のワイドボディを持って登場したシーマの衝撃はかなりのものがあった。当時も高級セダンに3ナンバー仕様は存在していたものの、ベースよりも大型なバンパーを装着してサイズ的に3ナンバー化したものが中心だったため、堂々としたボディのシーマは、それらのモデルとは一線を画す1台となっていたのである。
また、搭載されるエンジンも255馬力を発生する3リッターV6ターボエンジンのVG30DETと200馬力のVG30DE型をラインアップ。リヤのセミトレーリングアーム式サスペンションと相まって、フル加速時にリヤを沈み込ませながら猛然と加速する姿に憧れた人は数知れず、バブル景気の後押しもあって高級車でありながら爆発的なヒット車種となったのはご存知の通りだ。
そんな初代シーマであるが、じつは正式名称は「シーマ」ではなく、「セドリックシーマ」と「グロリアシーマ」となっていた。
これはベースとなったのがY31型のセドリック/グロリアであったこともそうだが、当時の販売チャンネル毎にセドリック及びグロリアの上級車種であることを理解してもらうという狙いもあったようだ。
そのため、セドリックを販売しているディーラーではセドリックシーマを、グロリアを販売しているディーラーではグロリアシーマを取り扱う形となっていたのだが、ベースのセドリックとグロリアのように大きな違いはなく、車名のエンブレムが違うだけの差異となっていた。
結局、車名にセドリック/グロリアが付けられていたシーマは初代だけで、2代目からは販売チャンネルに関わらず、単に「シーマ」に改められており、初代の大ヒットによってシーマという車名が市民権を得た証拠とも言えるだろう。