ハリウッドの映画監督がスーパーカーを作った! ル・マンでも活躍中の「SCG003」のバカっ速っぷりが想像を絶する (2/2ページ)

公道仕様・サーキット仕様・レーシングカーの3モデルを用意

 ここで紹介する「SCG003」は、そのファーストモデルともいえるもので、デザイナーは元ピニンファリーナで、現在ではイタリアでグランスタジオという独立したデザインスタジオで働く、パオロ・ガレラが率いるチームが内外装を担当している。発表は2013年のことで、この時は「P33」の車名を掲げていたが、2015年のジュネーブでモーターショー・デビューを飾った時にそれは「SCG003」へと改められた。

 SCG003の特長は、ひとつのシャシーでロードモデルの「ストラダーレ」、よりサーキット走行にフォーカスした「コンペティツィオーネストラダーレ」、そしてレース仕様の「コンペティツィオーネ」の3モデルに対応していること。

 搭載エンジンは、コンペティツィオーネがホンダ製の3.5リッターV型6気筒ツインターボとなるほかは、BMW製の4.4リッターV型8気筒ツインターボを搭載する。ミッションはコンペティツィオーネに6速シーケンシャルが、それ以外の2モデルには、7速のDCTが与えられる。

 さらに、優れた軽量性と空力特性もこのSCG003では見逃せない特長だ。ストリート志向のストラダーレでも、その車重はわずかに1300kg。ミッドに搭載されるBMW製エンジンは750馬力にまでチューニングされているから、結果的に0-96km/h加速は3秒フラットでそれをこなすことができる。また、同じくSCGの発表値によれば、走行中に得られるダウンフォースは、249km/h時に約700kg。最大の横方向加速度は2.0Gを達成できるとされる。

 SCGでは、その後もニューモデルの開発に積極的で、「SCG004」、「SCGブーツ」、「SCG007」、「SGC008キットカー」などが現在販売されている。なかでもSCG007は、2021年からスタートした、それまでのLMP1レギュレーションに変わる、新しいハイパーカー・レギュレーションに認証され、「SCG007 LMH」へと進化。今年のル・マン24時間レースでは、トヨタ勢に続いて、3位と4位でフィニッシュする健闘ぶりを見せている。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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