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じつはカラフルなタイヤも製造可能! それでもクルマのタイヤが「黒一色」である理由とは?

じつはカラフルなタイヤも製造可能! それでもクルマのタイヤが「黒一色」である理由とは?

この記事をまとめると

■基本的にタイヤが黒一色である理由について解説

■タイヤの色はカーボンブラックによるもの

■現在カラータイヤの製造が可能だが、流行しそうにない

タイヤはカーボンブラックにより黒くなっている

「黒くて丸いものってな〜んだ」というなぞなぞを聞いたことはないだろうか。タイヤを指した謎かけだが、では、なぜタイヤは黒いのか、疑問に思ったことはないだろうか。

 現在のタイヤは、石油を元にした合成ゴムで作られている。もっとも代表的な例はSBR(スチレイン・ブタジエン・ラバー)だが、クルマの荷重を支え、路面からの大きな衝撃(摩擦抵抗なども含め)を受けるタイヤは、ゴム分子同士の結合を強固に保つ必要がある。このゴム分子同士のつながりを強固に保つ役割を受け持っているのがカーボンなのだ。カーボンブラックと言われ、その名のとおり炭素からできた原材料で、黒色をしていることが特徴である。

 タイヤが黒いのは、合成ゴムの強度を上げるために配合されたカーボンブラックのためで、素材そのものは紀元前から使われている。文字を書くためのインク、絵を描くための絵の具の材料とし煤が使われていた。煤、すなわち炭素成分で、製法は進化を重ねるものの長い間インクの原料として使われてきた。そして19世紀、アメリカで天然ガスを原料にこの煤を製造する方法が考え出され、20世紀初頭にゴムの補強効果が発見された。

 ゴムタイヤは、ホイールにゴムを巻き付けるソリッドタイヤが発端となっているが、このゴムタイヤが考え出された時点で、またカーボンブラックの発見はなかった。また、合成ゴムもまだ作られておらず、タイヤのゴムは天然ゴムで作られていたため、タイヤの色は黒でなく、天然ゴムの褐色のような色をしていたという。

 さて、カーボンブラックだが、ゴムの補強効果が確認された20世紀初頭から、タイヤの原材料として使われるようになり、それが現在まで続いて「タイヤは黒くて丸いもの」という認識が定着した。

 では、タイヤは黒以外にあり得ないのか、という疑問も生じてきそうだが、実際のところ、カラータイヤは可能なのである。ゴムの補強材をカーボンブラックではなく、シリカを使えば着色が自由になるのだ。実際、2000年代初頭、BFグッドリッチがカラータイヤを製品化したが(トレッドコンパウンドのみ)、その後カラータイヤが注目されなかったことを見ると、タイヤは機能部品であえて黒色以外にする必要性はない、と市場が判断したと受け取ってよいのだろう。あるいは、黒という色がもたらす視覚的な安定感がタイヤは黒色という考え方を無意識のうちに強めていたのかもかもしれない。

 また、ゴムの補強材として、シリカよりカーボンのほうが廉価でタイヤの要求性能に合った側面を持っていることも、タイヤが黒いまま(カーボンを使い続ける)存続している理由となっているのだろう。タイヤは黒色のままでよい、あるいは黒色のほうががよいと考えている人は、意外に多くいるのかもしれないが、それ以上にカラータイヤに対する潜在的な抵抗感があるのかもしれない。

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