まるでフォーミュラーカーのような成り立ちと出立ち
MONOの構造は端的に言ってしまえば鋼管チューブラフレームに、カーボンパネルのボディをかぶせたもの。縦置きエンジンをはじめ、駆動系や足まわりもフォーミュラカーの公式どおりに作られています。なのに、540kgという超軽量化を果たせたのはなぜか? あのKTMでさえ740kg(もちろんふたり乗りというハンデもありますが)、ロータス3イレブンが890kg、ダラーラが作るF2だって(最低重量が)755kgってことを考えると驚異的といっても差し支えありません。
ちょっと探ってみると、BACの軽量コンストラクションの秘密は、どうやら設計ツール(ソフトウェア)の効果的な使い方にあるようです。AUTODESK社の設計支援ソフト「ジェネレーティブデザイン」を使うと、重量や機能といった設計目標をもとに製造方法やコストといった制限を打ち込むことで最適な設計解を導き出してくれるのだそうです。
たとえば、1本あたり2.2kgという極めて軽いアルミホイールは、それまで3軸CNCマシンでの製造を前提としていたものを5軸マシンに変更したことで得られた結果。一般的な軽量ホイールに比べ35%も軽いというのは大きなメリットにほかなりません。
また、シャークノーズに近いフロントマスクや、ディフューザーを大型化したかのようなリヤセクションもMONOのキャラを際立たせているかと。当然、エアトンネルでの緻密な解析がなされているものと思われますが、このあたりは非公開。
ブリッグス兄弟なら、クルマ関連のコネがいっぱいありそうですから、もしかしたら「お友達料金」が適用されて新興F1コンストラクターよりも空洞実験の回数が多いかもしれませんね。
で、肝心のパフォーマンスですが、ここはクルマ番組のトップギアから「パワーラップ」のランキングでご紹介しましょう。ちなみに、これはロータスのテストコースだったサーキットをスティグという覆面ドライバーがアタックするというもので、現在のトップタイムは1分11秒3でフェラーリSF90ストラダーレ、次いで同488ピスタが1分12秒7、でダラーラ、パガーニ、マクラーレンなどが名を連ね、MONOは7番手に位置する1分14秒3というリザルト。
パワーウエイトレシオやパッケージを鑑みれば、もう少し上位でもおかしくない気がするものの、お値段2450万円となるとこのあたりが適正かと。なにしろダラーラストラダーレ(2250万円)を除けば軒並み4000万円とか3億9000万円なんてクルマですから、速くて当たり前なのです。
最後に、イアン・ブリッグスが世界的なEV化や自動運転の普及についてインタビューを受けた際のコメントをご紹介しておきましょう。
「馬がクルマに変わっても、馬の存在は消えることなく乗馬というぜいたくなものに変わりました。ほとんどの人が自動運転のクルマに乗っているときでも、ドライビングを楽しむ人がいるはずで、ドライビングはカヌーやパラシュート、マウンテンバイクのようになり、とりわけMONOはより輝く存在となり得るのです」
三つ子の魂百までとは言いますが、この兄弟やっぱりハンパないですね!