HR-Vという名前でまったく違うモデルが販売されている
話を複雑にしているのは、欧州では日本でいうところのヴェゼルをHR-Vという名前で販売していることだ。グローバルで見ると、HR-Vという同じ名前でまったく違うクルマを売っているのである。
さらに中国ではヴェゼル・ベースの電気自動車が「e:NS1」、「e:NP1」という名前で売られており、日本でいうところのZR-Vについては、そのままZR-Vとして販売されている。
というわけで、日本のヴェゼルとZR-Vを基本に欧米中の展開を整理すると次のようになる。
日本 | 北米 | 中国 | 欧州 |
ヴェゼル | ー | e:NS1/e:NP1 | HR-V |
ZR-V | HR-V | ZR-V | ー |
旧型ヴェゼルは欧米でHR-Vという名前で売られていた名残と、HR-Vのネームバリューが、欧米における同名で異なるモデルを販売するという状況を生んでいるといえる。こうして並べてみると分かりづらいと感じるが、北米ではヴェゼルを売っていないことを考えると、各市場での最適化を考えると、ベストアンサーなのかもしれない。
ちなみにHR-Vというモデルは、かつて日本でも販売されていたのを覚えているだろうか。
日本では一代限りで終わったHR-Vの誕生は1998年9月。当初は3ドアボディだけの設定で、トップグレードには125馬力仕様の1.6リッターVTECエンジンを搭載するなどスポーティさも持つニュージャンルのモデルとして誕生した。
1999年7月にはホイールベースを100mm伸ばした5ドア仕様を誕生させ、それがグローバルでのHR-V人気を高めることになったという経緯がある。それでも2013年12月に初代ヴェゼル(海外名:HR-V)が生まれるまでの間、数年間はHR-Vは生産休止されたモデルとして埋もれていた時期もある。
こうした背景を考えると、なぜ北米でHR-Vの名前にこだわるのか少々不思議な部分もあるが、それだけ先代HR-V(日本でいうヴェゼル)のインパクトがあって、その名前に高いブランド価値があるとアメリカホンダが判断したということなのだろう。