1万台以上を売り上げた初のフェラーリはF355だった
275シリーズの後を受けた通称デイトナこと、365GTB/4も1968年からの5年間で1284台を販売している。その後継であるBBシリーズは、365GT4BB、512BB、512BBiの3モデルをトータルして2323台という販売記録。年々厳しさを増す排出ガス規制の中で、これだけの数字を残すことができたのは、十分に評価してよいだろう。
1975年に誕生したV8モデルの308シリーズは、フェラーリの生産台数増に大きく貢献したモデルだった。最初期のFRPボディを持つ308GTBが808台、スチールボディに変わった後の同モデルも2185台、そのオープン仕様たる308GTSに至っては、1977年から1980年までに、じつに3219台を販売することに成功しているのだから。308シリーズはこの後、GTB/GTSi、同クワトロバルボーレへと進化するが生産台数では最初の308GTB/GTSを上まわることはできなかった。
1986年に登場した328GTSが単体で6068台、ベルリネッタのGTBを合せて7412台を記録している。参考までにその後継車の348シリーズは、シリーズトータルで8704台。さらに1994年から1999年まで好調な販売を続けたF355シリーズに至っては、生産台数の総計は1万1894台と1万台超えを果たしている。
一方12気筒モデルでは、BBシリーズの後継車テスタロッサが、折からの好景気にも恵まれ、1984年から1991年までに7177台もの数がデリバリーされている。このテスタロッサはのちに、1991年に512TRに、1994年にはF512Mへとマイナーチェンジされるが、各々の生産台数は2261台、501台。トータルで1万台にはわずかに届かなかったものの、歴代12気筒フェラーリのなかでももっとも話題性に富み、人気を集めたモデルといえた。
12気筒モデルでは、再びエンジンの搭載位置をフロントに改めた550マラネロ、そして8気筒モデルは360モデナといったあたりを現代に近い存在と考えると、まず特筆できるのは、360モデナとスパイダー、そしてスペシャルモデルともいえるチャレンジストラダーレの成功だろうか。全モデルのトータル生産台数は実に1万7653台。続くF430シリーズも、2007年から2010年まで生産されたスクーデリア、スクーデリア・スパイダー16Mといったモデルを含めると1万6999台の生産が行われている。
2006年に誕生した新型12気筒モデルの599も、GTOやオープン仕様のアペルタといった限定車を合せると、その数は4679台になる。これ以降にデビューしたモデルの台数は、まだ生産が継続しているものなどを含め、フェラーリからの公式な発表が得られていないので、残念ながら不明。
現在のラインアップにも魅力的なモデルは数多くあるが、それはカスタマーのチョイスに幅広さが生まれるという意味でもある。はたしてこれまでの数字を上まわる生産台数記録を達成するモデルは誕生するのか? 毎年発表される好調な販売データを見れば、それはまず確実に可能なことだと思うのだが。クルマ選びは本当に難しい。