「グリップしている!」と確信できる信頼の高さを実感
インターを降り、斑尾高原に向かう一般道を走る。山を登るにつれて、道は黒い舗装路面から白い部分が増えはじめ、次第に真っ白に……。ちなみに取材日は朝晩の冷え込みが激しく、雪道ひとつとっても乾いた圧雪からフカフカの新雪、そして水分を多く含んだシャーベット状など、路面状況はとにかくバラエティに富んでいる。
じつはテストコースよりも厳しい条件となるが、そんななかでもアイスガード7は頼もしい性能を見せる。交差点でのブレーキング、坂道でのすれ違いで一旦停止からの発進時のトラクション、そしてコーナリング時に対向車とのすれ違いやアウト側の雪壁を意識せずにコーナリングできることなど、舗装路よりも滑りやすい路面で多くの人が感じる「ドキッ!」が明らかに少ないのである。
これは絶対的な「グリップの高さ」に加えて、「反応の高さ」も効いているだろう。アクセルやブレーキ、ステアリグ操作をしたときに、即座に「ギュッ」と路面を掴んでいることがステアリングやペダル、シートを通じてドライバーに伝わってくるので、「グリップしているかもしれない!?」ではなく「グリップしている!」と確信できるのだ。それは結果としてタイヤへの信頼にも繋がる。
さらに驚いたのは、従来品でも定評のあった、路面変化に柔軟に対応する「懐の深さ」と「性能の連続性」がより高められていることだった。もう少し具体的に言うと、時々刻々と変化する路面に対して得意/不得意がないこと、そして路面μが変わる時に不安定な挙動を見せることが極めて少ないのだ。これは絶対性能の高さだけでなく、リアルワールドでの性能の高さを意味している。つまり、意図しない挙動がでない→クルマは安定性を維持できる→ドライバーはミスをしにくくなる→安全運転に繋がる……と言う公式が当てはまる。
普通に走っていると何も起きない(⁉)ので、スキー場のとある駐車場をお借りしてVSC(横滑り防止装置)をOFFにして走らせてみたのだが、その印象は「安定していてつまらない」だった。それは上記の性能の高さの証明でもあった。
今回はさすがにチェックできなかったが、性能持続性の高さは、交換サイクルが減ることで経済性や地球環境にも貢献できるはずだ。非積雪地域のユーザーの中には「スタッドレスは摩耗するともったいないのでギリギリまでサマータイヤから履き替えない」と言う話もよく聞くが、アイスガード7なら早めに交換しても問題なし。ちなみに気温が7度以下に下がるとサマータイヤは本来の性能を発揮できなくなるが、スタッドレスタイヤは気温が下がってもしなやかさを保つゴムを採用するためこちらもまったく問題はなし。これらの理由から、雪が降る前からの履き替えをお勧めしたい。
そろそろ結論に行こう。リアルワールドで乗れば乗るほど、アイスガード7の実力の高さが理解できた。氷上性能、雪上性能の確実な性能アップに加えて、路面を選ばない「マルチパフォーマンス」はウインタードライブでの安心・安全への強い武器だ。正直に言うと、従来品でも「これで十分な性能でしょ!」と思っていたが、タイヤの技術革新は日進月歩であることを改めて再確認した。
ただ、いくら性能が上がったと言っても、雪道では無理は禁物だ。急な操作を控え、ていねいな運転を心がけてほしい。
発売サイズは13インチから21インチまで主要サイズをほぼカバー。メーカーによってはレアサイズは従来品を併売……と言うケースでガッカリすることもあるが、「すべての人に最新の性能を」もうれしいポイントだろう。