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もっと「おもちゃ感」全開かと思いきや「ちゃんとクルマ」してる! チューニングされた「シトロエン・アミ」が楽しすぎた (2/2ページ)

もっと「おもちゃ感」全開かと思いきや「ちゃんとクルマ」してる! チューニングされた「シトロエン・アミ」が楽しすぎた

この記事をまとめると

■フランスのメガサプライヤー「ヴァレオ」が製作したマイクロEVに試乗

■8馬力から14馬力にパワーアップされたシトロエン・アミはファンtoドライブ

■軽トラは20馬力の水冷モーターを前後に搭載する4WDで100km/h超も狙える

「ヴァレオ」チューンのシトロエン・アミが楽しすぎる!

 欧州車の電動化において「48V」がキーワードだった時代がある。通常の12Vよりも電圧を上げることで高効率なマイルドハイブリッドを生み出そうというアイディアは、主にドイツ系メーカーで実行に移された。あわせて48Vの電動スーパーチャージャー(ブロワー)や電動サスペンションアイテムといったアイディアも生まれたことは記憶に残る。

 現在は、100%電動のEVが主流となりつつあるため、48Vトレンドは少々忘れられている感もあるが、まだまだ注目すべきと主張するのがフランスを本拠地とするメガサプライヤーの「Valeo(ヴァレオ)」社だ。同社は48Vマイルドハイブリッドの主要パーツであるBSG(ベルトスタータージェネレーター)において多くの実績を持つサプライヤーであり、48Vの旨味をよく知っている。

 そもそも、なぜ48Vマイルドハイブリッドが欧州では主流だったのかといえば、48Vというのは低電圧として扱える電圧だからだ。日本のハイブリッドは最低でも100V以上というスペックで、そのため高電圧用のさまざまな対応が必要になっていた。一方、48Vは低電圧の中の高めの電圧という位置づけなので、高電圧で求められる対応などが不要になる。つまりローコストで電動化を進めるのにベストな電圧が48Vというわけだ。

 もちろん、本格的なEVを作ることは難しい。しかし、マイクロモビリティと呼ばれるカテゴリーを担うとされている超小型EVであれば、48Vのパワートレインを採用することは、ローコストや安全性の担保という点で優位性が見込まれる。

 その代表例といえるのが、今回試乗した「ヴァレオ48Vライトeシティーカー」である。

 前後左右のボディパネルをシンメトリーなデザインとすることで車体のローコスト化も進めているという、この小さなEVはフランスでは「シトロエン・アミ」として実際に市販されているモデルをベースにヴァレオがチューニングしたもの。

 現地では14歳以上であれば無免許でも運転できる低速限定のマイクロモビリティとして人気を博しているというシトロエン・アミ。フロントタイヤを駆動するパワートレインには、ヴァレオが製造する48Vのモーターとインバーター、ギヤボックスを一体化したeAccessが採用されている。

 量産モデルでは規格に合わせて最高出力6kW(約8馬力)、最高速は45km/hに制限されているが、ヴァレオが自社モーターの性能を引き出すべくバッテリーやビークルコントロールユニットなどをチューンナップしたことで、最高出力10.5kW(約14馬力)までパワーアップしているというのが、「ヴァレオ48Vライトeシティーカー」だ。

 ちなみに、超ユニークなボディはシトロエン・アミそのままで、サイズは全長2410mm・全幅1390mm・全高1520mmとなっている。このサイズに155/65R14サイズのタイヤを履いた姿は、どこかチョロQ的な印象もあり、おもちゃのような走り味では? という先入観もあった。

 しかしステアリングを握り、アクセルを踏み込むと印象は一変した。

 まったくパワーアシストのないステアリングやサーボなしのブレーキは非常にソリッド。アクセルに対する反応も14馬力程度というスペックから想像する以上にパワフルで、四輪の乗り物として見ても、おもしろいと感じるテイストに仕上がっていた。

 さらに48V eAccessの駆動モーターは、そもそもがBSG(マイルドハイブリッド用ジェネレーター)を使っているということで発電はお手のもの。アクセルオフではしっかりと回生ブレーキが働くため制動力においても不満はなかった。

 フランスでは四輪バイク的な位置づけということもあって、空調についてはデフロスター(くもり止め)くらいしか備わっていないという仕様なのは実用性の面では気になったが、純粋にドライブが楽しいという体験を14歳で味わえるというのは、うらやましいと感じたのも事実だ。

 さらにいえば遮音性などもプアゆえに、電動らしい「キーン」という音がダイレクトに耳に入ってくるのも、この車格だからこそファンtoドライブの演出になっていると思うところだ。

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