この記事をまとめると
■ダッジからチャージャー・デイトナSRTのコンセプトEVが発表された
■1969年のチャージャー・デイトナに敬意を払ったモデルであり、パフォーマンスは現行のSRTを凌ぐ
■EVでありながら126dbのエグゾーストノートが再生されるシステムを搭載する
ダッジはEVになっても悪役がよく似合う
ダッジ、この響きだけでもマッスルカー好きならコーラを一気飲みできるほどでしょう。近年はチャージャーに加え、チャレンジャーまでリリースされ、しかもSRT(Street and Racing Technology)のプロダクトマークまで復活されたりしたら、コーラ1ダースは続けて飲めそうな爽やかさ。まさにアメリカの至宝ともいえるマシンですが、世の中の(もしくはカリフォルニアの急進的な環境論者による)EV化というビッグ・ウェンズデーには抗うことが難しいのでしょうか。言いようのないやるせなさを感じずにはいられません。
だいたい、スティーブ・マックイーンが映画「ブリット」でマスタング対チャージャーの激しくも華麗なカーチェイスをしてからこっち、ダッジは不良とかアウトロー的なアイコンになって久しいクルマ。「ワイルドスピード」だって同様です。元は泥棒のヴィン・ディーゼルも、劇中の愛車はダッジ・チャージャー。意識低いというか、頭悪そうなドミニク(あくまで劇中のキャラのことです)がいくら速いからって、EVコロがすなんてありえませんよね。
というわけで、先ごろ公開されたダッジ・チャージャー・デイトナSRTのコンセプトEVは、きっと筆者に限らずアメリカン・マッスルカー好きの気持ちをブルブルと震わせているに違いありません。言うまでもなく、デイトナの名は1970年のNASCARでチャージャー・デイトナが史上初めて200mphを突破したことにちなんだもの。
実車のスタイリングは、タフでミステリアスなシルエットというダッジの文法通り。ボンネットフードなんて、ほんとワックスを手で伸ばしてあげたいくらいのなまめかしさ。ヒドゥンヘッドランプを模したフロントまわりも秀逸で、正直カッコいい。一見オールドスクール感がコテコテなようで、グリルから受けた空気をボンネットへ撫でつける効果的な空力構造を取り入れるなど「カッコいいだけじゃない」アピールもバッチリ。
また、肝心のエレクトリックも「Bansee」と名付けられた800Vのシステムだそうで、パフォーマンスは現行のSRTを凌ぐ模様。さらに、「eRupt」と呼ばれるシステムはあたかもマニュアルミッションかのように電気エネルギーを調節可能とし、「Powershot」なるステアリング上のボタンはモーター出力を一時的にオーバーシュートしてくれるのです。
インディカーでおなじみの「Push to pass」みたいな機構で、先のドミニクとかが好きそうなギミックと言えるでしょう。