技術や部品を共有したクルマの誕生に期待
資本関係や生産台数で見ると、マツダとトヨタの両社にとって同等のメリットがあるように見える。だが、グローバルで2社の事業全体を見ていると、やはりマツダにとってのメリットが多い印象がある。
マツダにとって海外生産は中国とタイが中心で、アメリカ向けにはフォードとの合弁事業から撤退して以降、これまでは日本国内生産で輸出していた。
2010年代半ば以降、マツダはアメリカ事業の立て直しに積極的で、2010年代後半になりブランド戦略や販売網の整備をひと段落させ、これからは売れるクルマをフレキシブルに市場に供給する体制が求められていたところだ。
マツダとしては、アメリカでの生産経験が豊富なトヨタから、生産技術だけではなく労務管理など、アメリカ現地企業として生き抜く術をトヨタから吸収することが大きなメリットになっているようだ。
また、マツダにとっては、アメリカでの電動化への対応についてもトヨタとの協業は必須となる。
バイデン大統領が2021年8月に自動車の電動化に関する大統領令を発令。「2035年までに新車50%以上を、BEV(電気自動車)、プラグインハイブリッド車、または燃料電池車とする」という内容だ。そうした中で、今後は電動化部品でマツダとトヨタとの部品の共通性が高まることになり、量産効果という面ではマツダにとってのメリットは大きいはずだ。
一方、トヨタにとっても同じく、電動化における量産効果でのコスト削減を期待しているはずだ。
いずれにしても、MTMは北米事業の未来に向けた、マツダとトヨタの思惑が上手くバランスして成り立っているのだと思う。