メーカーは各モデルの生産比重の判断に迫られている
トヨタ・カローラが前年同期比103.2%で総合ランキング4位に入っている。これは、すでにマイナーチェンジ後モデルの予約受注が始まっているなか、急ピッチで現行モデルのバックオーダーを消化している様子が見て取れるものと考えている。
トヨタ・ルーミーが登録車のみのランキングで4位から8位に下降している。一方でトヨタ・ライズは7位から4位に上昇している。ルーミーはDNGAプラットフォームでもないし、eスマート(シリーズ式ハイブリッド)搭載車もないが、両車でも7月と8月で生産台数のバランスが取られているように見える。
日産ノートが6月から登録車のみではベスト3以内に入り続けている。そもそも納期が短めのなか、6、7月の夏商戦内で納車しきれなかった分が8月にこぼれていることが影響しているように見える。また9月の事業年度締めでの上半期末が迫っているので、レンタカー会社などフリートユーザーへの納車を積極的に行っていることも影響しているかもしれない。
軽自動車では、ワゴンR、アルト、ジムニーで前年比100%超えしているスズキが目立っている。アルトではラパンが6月に改良を行い、同時にLCを追加しているのが影響しているようだ。ワゴンRではテレビコマーシャルのオンエア頻度を見ても、ライバルのダイハツ・ムーヴキャンバスがモデルチェンジしたこともあり、相乗効果を狙ってワゴンRスマイルの拡販を進めていることが影響しているものと考えている。
現状、販売ランキングの順位が上がることは、単に市場の人気が高まったということではなくなっている。部品供給が十分ではないなか、生産現場のスタッフが新型コロナウイルスに感染したり、濃厚接触者になったりして、満足に車両生産ができない状況が続いている。さらに、限られた部品のなかで、メーカーはライバルの動向や自社内の都合などを考え、どのモデルの生産比重を高めるのかを判断しながら、日々完成車生産をしているのである。
自販連や全軽自協の販売ランキングをみると、筆者はついついその背景に何が起こっているのかを深読みしてしまう。
2022年8月単月新車販売ランキング
トヨタ・ヤリス(14041台)
ホンダN-BOX(11130台)
日産ノート(7871台)
トヨタ・カローラ(7334台)
スズキ・スペーシア(6751台)
ダイハツ・ムーヴ(6601台)
トヨタ・ライズ(5733台)
スズキ・ワゴンR(5514台)
日産セレナ(5275台)
ホンダ・フリード(5199台)
ホンダ・フィット(5148台)
ダイハツ・タント(5119台)
日産ルークス(4926台)
トヨタ・ルーミー(4924台)
スズキ・アルト(4803台)
スズキ・ハスラー(4733台)
ホンダ・ステップワゴン(4614台)
トヨタ・アクア(4456台)
ダイハツ・タフト(3809台)
トヨタ・ノア(3766台)
スズキ・ソリオ(3680台)
日産サクラ(3523台)
ホンダ・ヴェゼル(3514台)
トヨタ・ヴォクシー(3370台)
スズキ・ジムニー(3347台)
ダイハツ・ミラ(3318台)
トヨタ・ハリアー(3271台)
トヨタ・ランドクルーザー(2869台)
トヨタ・シエンタ(2796台)
マツダ・CX-5(2618台)