この記事をまとめると
■モータースポーツではヘルメットが必着となっている
■公道でもヘルメットを被ると安全性は高まるのだろうか?
■違法ではないが視界が狭まることも
フルフェイスは視界がやや狭くなる
サーキットを走るときなど、モータースポーツでは必着となっているヘルメット。オートバイでは義務化されているが、四輪で公道を走るときにヘルメットをかぶっている人はほとんどいない。
モータースポーツで安全性が実証されているフルフェイスやジェットヘルなら、公道を走るときにも安全面でかなりプラスになるのでは? と考える人もいるだろうが、たしかにそれはそのとおり。
もっとも公道での通常の衝突事故では、頭部よりも頚部、胸部、腰部を損傷するケースが多いので(シートベルト着用時の事故)、頭部の保護の優先順位はそれほど高いとはいえないが、衝突時、シートベルトは10cm以上伸びてしまうこともあるので、頭部をガラスやピラー、ハンドルなどにぶつけてしまうことは少なくない。
とくに転倒・横転してしまったときは、ヘルメットでかなりダメージを防げるはずだ(モータースポーツでヘルメット必着が義務づけられているのも、転倒・横転を考えてのこと。フルフェイスは車両火災のことも考えてある)。
そんなに安全性が高いのなら、公道でもヘルメットをかぶりたい。でももしかしてヘルメットをかぶって公道を走るのは違法だったりするのだろうか?
道路交通法を見る限り、ヘルメットをかぶって運転するのを禁止するような一文はない。また、高速道路をパトロールしているパトカーの乗員はヘルメットをかぶって運転しているし、ラリー競技でもヘルメットをかぶって公道を走るシーンはおなじみだ。
したがって、ヘルメットを着用して公道を走っても違法性はない。ただし、フルフェイスの場合、視界がやや狭くなるので不便といえば不便。
さらに細かいことをいえば、2018年に僧侶が福井県の県道で僧衣を着て軽乗用車を運転していた際、「運転に支障がある衣服だ」として交通反則切符(青切符)を切られた例があるので、視界が狭いことを理由にフルフェイスも取り締まりの対象になる可能性はゼロではない(耳を塞いでいる点も争点になりそうだが、耳についてはジェットヘルでも同じなので揉めることはないはず)。
安全第一ということなら、フルフェイス+頸部を守るHANS(ハンズ)をつけるのが理想的だが、一般的には公道では正しいポジションに座って、3点シートベルトをしっかり締めて、エアバッグがあれば十分ともいえる。
それ以上の安全性を求め、フルフェイスヘルメットをかぶりたい人は、個人の判断、好みで着用すればいいのでは。