個性的な外観に反して乗り味にはシトロエンらしさがあふれてた
シトロエン本社でCMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)を担当する日本人デザイナー、柳沢知恵さんが関わったインテリアは、エンブレムのダブルシェブロンをアレンジしたステッチ、色味を抑えた木目調パネルなどで、こちらもシックでありながら見どころ満載。
前席は腰を下ろした瞬間は固めかと思いきや、その後はシトロエンらしく体を優しく包み込んでくれる。試乗した上級グレードのシャインパックでは、ヒーターやベンチレーションに加えて多彩なマッサージ機能まで用意されていて、今風のリラグゼーションを味わわせてくれる。
2785mmのロングホイールベースのおかげで、後席は身長170cmの僕なら足が組めるほど。前席より一段高めに座るのに、頭上空間がちゃんと確保されていることも感心した。ルーフが長めのプロポーションのおかげだ。
パワーユニットは1.6リッター直列4気筒ガソリンターボと、これにモーターを加えたプラグインハイブリッド車が用意される。今回乗ったのはガソリン車。180馬力の最高出力と25.5kgmの最大トルクは控えめに映るが、シャインパックでも車両重量は1520kgと軽いので加速は十分だ。
PHCがもたらす乗り心地は予想以上にソフトで、DSやCXを思い出す。C4との車格の違いはここでも歴然だ。人間が乗り降りするだけで車高が上下するぐらいなのだから。
そのわりにコーナーでのロールは抑えられていて、サイズから想像するよりすんなり曲がれるけれど、このクルマのキモはやっぱり、ACCを速すぎないスピードにセットして、高速道路をゆったりクルージングするときだろう。
それを含めてC5 Xは、かつてのフラッグシップ・シトロエンが持っていたエッセンスをしっかり受け継いでいた。内容を考えれば価格はお手頃と思う人が多いはず。このデザインに惹かれる人なら、乗り味にも満足するはずだ。