この記事をまとめると
■さまざまな理由により生産を終了する車種がある
■最近は電動化へのシフトもあり、車種整理が活発に行われている
■まもなく生産を終了することがわかっているクルマを買っても維持できるのだろうか?
パーツ供給は生産終了後10年間が目安
最近はクルマの売れ行きが伸び悩み、将来的には電気自動車に対応する必要も生じた。車種の入れ替えが行われ、売れ行きが低迷している場合は、販売を終了するようになった。
とくに廃止が目立つのは、海外市場も含めて売れ行きを下げているセダンだ。トヨタはマークXやプレミオ&アリオン、日産はフーガ/シーマ/ティアナ/シルフィ、ホンダはグレイスやレジェンドという具合に、販売を終えたり終了を予定しているセダンが増えた。アコードも国内販売を終了する模様だ。
メーカー別に見ると、ホンダは車種の廃止が目立つ。前述のセダン以外にも、ミニバンのオデッセイ、SUVのCR-V、コンパクトワゴンのシャトルという具合に終了する。今後のホンダでは、今まで以上に軽自動車とコンパクトな車種が中心になり、全長が4500mmを超えるのはステップワゴンとシビックのみだ。国内で販売されるホンダ車が小型化することにより、ホンダのブランドイメージも、スズキに近付いていく。
しかし廃止される車種の商品力が低いとは限らない。アコードは走行安定性と乗り心地のバランスが良く、居住性も快適だ。ファストバック風の外観や大柄なボディが災いして売れ行きは伸び悩むが、商品自体の満足度は高い。そうなると以前からアコードを欲しいと思っていたユーザーは、販売が終了する前に買っておきたいだろう。
この時に気になるのが、購入後のアフターサービスだ。生産を終えて補修用部品の供給まで停止すると、点検、整備、修理などを受けられなくなる。どの程度までパーツは供給されるのか。
この点をホンダに尋ねると、以下のように返答された。「生産を終えた後のパーツ供給は、10年間が目安になる。ただしパーツによっては、10年を経過した後も、供給を続けることがある」。
つまり生産を終えても、少なくともその後の10年間は、パーツの供給を受けられる。今は人間の平均寿命に相当する乗用車の平均使用年数が、13〜14年とされているから、10年間で終了すると不便を感じるかも知れない。
この10年間の供給は、車種の終了に限らず、フルモデルチェンジを行って生産を終えた場合にも当てはまる。その意味では、フルモデルチェンジを控えたモデル末期に購入すると、パーツ供給のリスクが若干増える心配もあるわけだ。
なお車種が廃止された場合、数年後の売却額も気になるが、これは車種によって異なる。たとえば2018年式ホンダ・ジェイドRSの新車価格は253万円で、現在の中古車価格は200万円前後だ。中古車価格は新車価格の79%になる。
同じ2018年式のホンダS660αは、新車価格が218万円で、中古車価格は210〜220万円だ。つまり中古車が新車時と同等の価格で販売されている。生産を終えたから、売却時や中古車として売られる時の価格が下がるわけではなく、車種の人気度に左右される。