歴代のスバルSUVも実用性と個性を兼ね備えていた
スバルは過去にも数々のSUVを登場させてきました。現在のSUVに影響を与えたと思われるモデルたちを振り返ります。
レオーネエステートバン(1972〜1979年)
厳密にいえばSUVとは呼べないものの、後に繋がるスバルのSUVに大きな影響を与えたのが初代レオーネに追加されたエステートバン。
セダンをベースとした商用バンの悪路走破性を高めるため最低地上高を210mmに高め4WDシステムを搭載……と、現在ラインアップされているスバルSUVと同じ思想で開発されたクルマなのです。
レオーネエステートバンの4WDシステムはエンジン縦置きFF仕様のトランスミッション後部にドライブシャフトを接続。FF→4WDと変更するセレクティブ方式を採用し、走行中でも駆動方式を切り替えることが可能でした。
エステートバンのパワーユニットは1.4リッター直4水平対向エンジンを搭載。セダンやエステートバンのFF仕様には1リッターエンジンも用意されていましたが、4WD化し車重が重くなったことでパワー不足と判断されたのか搭載はされていません。
レオーネエステートバンの4WD仕様は発売後、悪路走破性の高さが評判を呼び「スバル=4WD」と今も続くブランドイメージを植え付けることとなる記念すべきクルマでした。
レガシィ グランドワゴン(1995〜1998年)
2代目レガシィに追加されたレガシィ グランドワゴン。当時、RVブームが巻き起こっていた中、レガシィツーリングワゴンをベースに最低地上高200mmを高めオーバーフェンダーや大径タイヤなどでクロスオーバーSUVに仕立てた1台でした。
駆動方式はスバル自慢のアクティブトルクスプリット式4WDを採用。2.5リッター水平対向4気筒エンジンを搭載し、電子制御タイプの4速ATを組み合わせています。
デビュー後、高い人気を集めたグランドワゴンは1997年に車名を「ランカスター」に変更。ただ、北米では「アウトバック」として発売されていたことからもわかるように、現在ラインアップされているレガシィ アウトバックの祖となるモデルでした。
インプレッサスポーツワゴン・グラベルEX(1995〜2000年)
1992年にデビューした初代インプレッサのスポーツワゴンをベースに最低地上高を180mmに拡大。当時のRV車に装着されることが多かったグリルガードや背面タイヤでSUVに仕立て1995年に登場したのがグラベルEXでした。
パワーユニットは最高出力220psを発揮する2リッター水平対向4気筒ターボエンジンを搭載。4WDとの組み合わせで、その名の通り悪路をものともしない走行性能を備えていたのが特徴です。
当時、ハッチバックやワゴンをベースにこのようなお手軽SUV(当時はRVと呼ばれていましたが)が多数、登場しましたが1994年にトヨタ・RAV4、1995年にホンダ・CR-Vとライトクロカンが登場したことでそれらのモデルは大きな打撃を受け販売は低迷。
グラベルEXも販売は成功しませんでしたが、現在販売されているXV登場に多少なりとも影響を与えたのではないかと思われます。
エクシーガ クロスオーバー7(2015〜2018年)
「ミニバン+SUV」のクロスオーバーとして2015年に登場したエクシーガ クロスオーバー7。スバルが2008年から販売していたミニバンのエクシーガをベースに開発されたモデルですが、派生車というより販売が伸び悩んでいたエクシーガのビッグマイナーチェンジ仕様(※2015年からエクシーガのラインアップはクロスオーバー7のみとなった)といった意味合いで登場しています。
押し出し感を強くしたフロントマスクや最低地上高170mmとしたことなどでエクシーガとは印象を大きく変えたクロスオーバー7。2.5リッター水平対向4気筒エンジンとリニアトロニックCVTにより走りの良さも味わえました。
ミニバンとしては3列目シート周りの居住空間は広いとは言えませんでしたが、5名乗車を前提に使用すると460Lのラゲッジ容量やゆとりある居住空間が大きなメリットとなります。
ボディサイズもやや大きいものの全長4780mm、全幅1800mm、全高1670mmと国内で使用するには問題ないサイズでした。
クロスオーバー7は2018年に販売が終了しましたが、改めて振り返るとけっこう魅力的なクルマだったなと思ってしまいました。エクシーガのデビュー時からラインアップされていたら、もしかしたら人気を集め2代目エクシーガが登場していたかもしれません。
まとめ
国内外メーカーから多くのSUVが登場していますが、改めて深掘りするとスバルのSUVは個性的なことがわかります。
他車にはない個性を備えたモデルというのはSUVでなくても魅力的であることは間違いありません。ライバルと比較することなく選ばれるモデルが多いスバルのSUVは今後も注目されていくことでしょう。