レース以上に興奮のるつぼ! スーパーGT第5戦でデモランした6台の「グループCカー」が胸熱すぎた

この記事をまとめると

■スーパーGT第5戦の開幕前にグループCカーのデモランイベントが行われた

■日本のマシンだけでなく海外のマシンも同時に走行した

■独特のサウンドを響かせながら走る姿は貴重な光景だった

往年のグループCカーが鈴鹿に凱旋!

 2022年のスーパーGT第5戦「SUZUKA GT 450km RACE」では予選、決勝ともに激しいバトルを展開。GT500、GT300の両クラスで名勝負が展開されていたのだが、それと同じくらいファンの心をときめかせていたイベントが、鈴鹿サーキット60周年特別デモラン「グループC〜夏の鈴鹿耐久決戦〜」だと言えるだろう。

 1966年に「鈴鹿耐久レースシリーズ」がスタートしたほか、その後はJSPC(日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権)やスーパーGTの1戦として「鈴鹿1000kmレース」が開催。さらに近年は「鈴鹿10時間耐久レース」が開催されるなど、鈴鹿サーキットは耐久レースのイメージが定着しているが、開場60周年を記念すべく、1983年から1992年に活躍した6台のグループCカーが集結し、デモ走行を行っていた。

 まず、最も注目を集めていたのが、ニッサン最後のグループCカーとして開発された「ニッサンNP35」で、カーボンファイバー製モノコックに自然吸気の3.5リッターV12エンジンを搭載。同モデルは1992年に完成し、全日本スポーツプロトタイプカー選手権の最終戦でデビューを果たしたが、その後、ニッサンのグループCカーでの活動が終了したことから、まさに幻の1台と言えるマシンだ。

 またマツダがIMSA-GTP規定で開発した「マツダ767B」も注目のマシンで、1989年の国内耐久レースで活躍したほか、ル・マン24時間レースでは総合7位/IMSA-GTPクラスで優勝するなど豊富な実績を持つ。

 さらに1986年〜1987年のル・マン24時間レースで2連覇を達成したほか、日本国内でも多くのタイトルを獲得した「ポルシェ962 C Le Mans」も注目の一台。

 また1986年のマーチ社製の市販シャシーにニッサンの3リッターV6ツインターボエンジンを搭載した「ニッサンR86V」もニッサンにとって初のル・マン24時間レース参戦モデルとなっただけに、ニッサンファンにはたまらないマシンだと言えるだろう。

 そのほか、F3など数多くのフォーミュラマシンを手掛けてきたイギリスのアルゴ・レーシングカーズが1985年に製作した「アルゴJM19C」もなかなかお目にかかれない一台で、「ラッキーストライク」カラーの117号車はコスワース製の3.3リッターV8エンジンを搭載。1988年のFIA世界スポーツプロトタイプ選手権(WSPC)に参戦した実績を持つ。

 さらにイギリスのコンストラクター、スパイス・エンジニアリングが開発した「スパイスSE91C」も希少なマシンで、WSPCで活躍したほか、1991年のル・マン24時間レースでは総合12位、クラス優勝を獲得した。

 いずれもモータースポーツ史に残るマシンで、今回のデモ走行によって、グループCカーがいかに美しいシルエットを持っていたかがうかがえた。またエンジンおよびエキゾーストサウンドも気持ちよく、なかでもニッサンNP35のV12エンジンおよびマツダ767Bのロータリーエンジンの快音は高揚感を駆り立てるほどのサウンドだ。

 またピットで作業中の風景も覗いてみたが、エンジンのコンパクト化が進む現代のレーシングマシンと違って、当時のエンジンは大型で無骨なデザインを採用。エキマニもレイアウトが美しく、とくにニッサンNP35のV12エンジンは芸術品をイメージさせるほど機能美の高いシルエットだった。

 今となっては現代のレーシングマシンと比べるとスピード的には遅いものの、やはりグループCカーのスタイリングは独創的で、レーシングサウンドも個性的である。走行できる状態で保管し続けることは、オーナーおよび管理ガレージにとっては多くの苦労があると思うが、再びグループCカーの走りが見られる日が来ることを楽しみにしたい。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
趣味
登山
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石田ゆり子

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