意外に「モータースポーツ」のハードルは低かった! ゼロから趣味で始める「費用」や「ライセンス」のホントのところ (2/2ページ)

本格レースへの参戦にはライセンスが必要

 続いては、初心者だけど本格的なサーキットでのレースに参戦してみたい、という人がまずやるべきことは、JAFが発給しているモータースポーツライセンスの国内A級ライセンスを取得することです。このライセンスを持っていると、アマチュアが参加できるナンバー付きのワンメイクレースをはじめ、JAF公認競技に参戦することができるようになります。

 スーパーGTなどトップカテゴリーのレースに参戦するには、もっと上級のライセンスが必要となりますが、それもまずは、この一歩から。全国で開催されている国内A級ライセンス取得講習会に参加し、合格を目指しましょう。費用は開催場所によってまちまちですが、2万円〜3万円程度が一般的。教材費や交通費などは別途必要です。

 そして次に、レースに参戦する前に最低限、他人に迷惑をかけない程度にドライビングスキルを磨いておくことをおすすめします。初心者とはいえ、サーキットを走る以上、何かあれば他人を傷つけてしまったり死に至ることもあり、その際に初心者だからと許されることはありません。万が一の危険回避テクニックなども、会得しておくといいでしょう。そのためには実際に走りたいサーキットに出向き、そこで開催されているドライビングレッスンを受講するのがいちばん。車両は最初からレーシングカーではなくても、受講できるクラスがあります。オイル漏れがないかなど、メンテナンスはしっかりと。

 もし自分で車両を用意できない場合には、レーシングカーのレンタル走行プランがおすすめ。たとえば富士スピードウェイで行われている「86レーシングカーレンタル走行システム」なら、プロレーサーによるレベルにあわせたドライビングレッスン付きで、みっちり走ることができます。走行後のメンテナンスが含まれた料金は、30分で7万4500円。30分は短いと思うかもしれませんが、初心者がサーキットを30分走ったら、きっとヘトヘトになるでしょう。サーキット走行がハードなスポーツであることが体感できると思います。

 こうしてドライビングスキルを磨き、いよいよレースに参戦する自信がついたら、どのレースに出てみたいのか、選んでいくことになります。いろんなレースがありますが、当然ながらレースに参戦する車両を購入するところから費用が発生。予算のすべてをそこでつぎ込んでしまうと、ロールバーなどレースに参戦するために必要な改造費、エントリーフィーなどの参戦費用、サーキットまでの交通費や宿泊費といった遠征費用、レース後のメンテナンス費用などがなくなってしまうので、車両の購入費用はなるべく抑えたいところですね。長く開催されているレースの場合は、以前参戦していた人がその車両を中古で売りに出している場合もありますので、情報収集してみましょう。

 例として、軽自動車のため購入費用が比較的抑えられる、ホンダN-ONEのワンメイクレース「N-ONE OWNER’S CUP」で計算してみると、車両はFFでターボならなんでもOKということで、もっともベーシックな「Original」が新車で159万9400円。そこから最低限必要な部品を取り付けると、工賃込みで約50万円。1戦あたりの費用は、エントリーフィーや保険代、消耗部品代、練習走行代、遠征費用で約10万円。レース後のメンテナンスは自分で行うとすると、約220万円かかるということになります。

 また、レース車両を購入するのはハードルが高いという人や、購入しても保管場所がなくて困るという人もいると思いますが、それでもレースに参戦したいという人にピッタリなのが、ロータスが用意している「レンタルELISE参戦パッケージプラン」。JAF公認のワンメイクレースである「LOTUS CUP JAPAN」に、エリーゼをレンタルして手ぶらで参戦できるというプランです。

 これは、車両の使用料、エントリー費、新品タイヤ1セット、レース前後の基本メンテナンス費、車両の輸送費、レース保険代、レース当日のメカニック費用、レース当日のお弁当代(2名分)がまるっと含まれていて、スポットエントリーだと1レース64万円。シーズンエントリー(JAF戦4戦+特別戦2戦)だと271万円という価格で、1レースあたり45万円ほど。憧れのロータスでサーキットを走りたいという人には、とても魅力的なプランではないでしょうか。ただこのレースはサーキットによって最高速度が220km/h以上にもなる速いマシンということもあり、ドライビングスキルがある程度備わっている経験者におすすめです。

 ということで、経験がある人もない人も、お金をかけたくない人でも、モータースポーツの世界に飛び込む扉はたくさんあります。スポーツの秋にぜひ、トライしてみてはいかがでしょうか。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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