この記事をまとめると
■インドネシア国際オートショー2022を取材
■今回はプレスキットなどのデジタル化に焦点を当てた
■日本のデジタル化の遅れを痛感させられた
コロナ禍でよりデジタル化が進行した近年の海外モーターショー
少し昔(もちろんコロナ禍前)のモーターショーでは、プレスデーに紙(リリースなど)+USB(画像データなどが入っている)もしくは、USBメモリーのみなどのプレスキットがプレスカンファレンス時に配布されていたが、その後“詳しくはWEBで”ばりに、プレスキットを配布せずに特設サイトへのアクセスが案内されるようになった。それでも一般公開日には、チラシのような各車のリーフレットが用意され配布されていたので、情報収集としてカートを引きながら筆者はリーフレットを集めていた。
※画像はイメージ
しかし、コロナ禍となってその様相も一変した。紙ベースのリーフレットの配布などが新型コロナウイルス感染予防の観点もあり問題視されたようで、今年春に訪れたバンコクモーターショーや、今回訪れたインドネシアのGIIAS(ガイキンド・インドネシア国際オートショー)では、ほぼ配布されなくなっていたのである。
筆者はリーフレット以外でも情報収集のひとつとして、展示車のウインドウに貼られたり、展示車のそばに置かれているスペック表も撮影していたのだが……。GIIASの会場で展示車のスペック表を撮影しようと近づくと大きなQRコードがあるだけで、スマホでスキャンして確認するというスタイルが多くのブランドで実施されていた。筆者が見た限りではQRコード採用と従来のスタイルのスペック表を採用するブランドはまだ半々のように見えた。スペック表だけでなく、QRコードをスキャンすることで、その場で誰でもウエブカタログ(電子データ化されたカタログ)を実車の前で見ることができるなど、デジタルツールの採用で利便性も増しているので、筆者のいままでのショーでの動きを変えるようなデジタル化の動きに目くじらをたてるつもりはないが、とにかく会場内は会場内で行われている試乗受け付けまでなんでもQRコードスキャンからスタートとなっており、スマホがなくてはモーターショーも満足に楽しめない時代になってきたなあと思ってしまった。
とはいうものの、日本では「スマホを持たない人を無視するのか」といった議論となり、ショー会場でここまでQRコードが活用されることはないんだろうなあとも思った。単にデジタル化という前に、新型コロナウイルス感染予防という観点では接触機会を避けることもできるので、スマホでのQRコードスキャンという流れは有効であると感じた。GIIASでは確認できなかったが、バンコクモーターショーでは、来場者の大半がスマホ内に表示される電子チケットで会場内に入っていたし、入場の際にはスマホにダウンロードした政府の新型コロナウイルス感染予防に関するアプリ内の接種証明画面や定期的に行う必要のある(当時)陰性証明などを見せていた。バンコクモーターショーのプレスパスも、筆者は登録が間に合わずカードタイプとなったものの、地元メディア関係者の大半は電子プレスパスを持っていた(GIIASはまだカードタイプのみであった)。
GIIASのBMWブースではプレスカンファレンスのプレス受け付けもQRコードをスキャンし、各自のスマホから情報入力する方式を採用しており、列に並ぶなどの面倒はなかった。
少々モーターショーからは話がそれるが、中国ではコロナ禍前から採用されていたが、バンコクやジャカルタ市内のタクシーは車載ディスプレイ内に表示される“電子乗務員証”が当たり前のように採用されている。しかし日本ではいまだに紙ベースの乗務員証をラミネート加工したものを使っている。
海外を訪れモーターショー会場や、街なかのちょっとした風景だけ見ても、日本のデジタル化が遅れていることを肌で感じてしまう今日このごろである。しかも、海外ではデジタルツール化されると、「便利になったなあ」と肌で感じることがほとんどだが、日本ではなぜかデジタル化されてもそれほどリアルに利便性を感じることが少ないと感じるのは筆者だけなのだろうか。