酷暑の夏場でもサマータイヤとほとんど遜色ない操縦性
試乗会場のスラロームコースで試してみると、ハンドルを切り出したときの応答はハイブリッドのほうがシャープで軽快。ただ、パイロンをオフセットしてカーブをきつくしたコースだと、深い舵角までハンドル操作についてくるのはGen3だった。
しかも、タイヤの摩耗を見ると、ハイブリッドはスラロームコースの荒いアスファルト舗装でブロックの角が削れてかなり傷めつけられていたが、Gen3は明らかに傷み方が少なく、ブロックのタフネス性が高いことが分かる。
グッドイヤーによれば、耐摩耗性能はハイブリッドに比べ3割(!)ほどよいという。ゴムのタフネス性が摩耗に大きく効いているということなのだろう。
ブレーキの比較も行うことができた。ブレーキステージはカムリを使いハイブリッドとGen3の比較。SUVはウエザーレディとGen3 SUVの比較をハリアーで行ったがいずれも制動距離の比較で大きく差が開いた。
ちなみに試乗車にはGPSを使った計測器が設置されていた。それによると、時速60km/hからの制動距離はハイブリッドの平均が約18.3mであるのに対して、Gen3の平均は17.7mだった。
ウエザーレディとGen3 SUVはもっと差が大きく、ウエザーレディの平均18.9mに対しGen3 SUVが17.7mとなった(※いずれも3回平均の実測値)。
今回のサマー試乗会では、『果たしてベクター4シーズンGen3/Gen3 SUVは気温30度以上、路面温度50度以上のアスファルトを違和感なく走れるのか?』というのが本当に知りたいところだった。そして試乗した結果、Gen3/Gen3 SUVともに期待以上のサマー性能を持っていることが確認できた。
全体の印象としては、マイルドで穏やかな乗り味があり、シャープで切れ味のいい操縦性のクルマと組み合わせると、その特徴が出にくいかもしれない。クルマの本来持っている操縦性にこだわる人はサマータイヤとウインタータイヤを履き替えて使うことをお薦めしたい。
ベクタ-4シーズンGen3/Gen3 SUVは、ハイブリッドやウエザーレディに比べ雪上性能が大きく進歩しているのに、酷暑の夏場でもサマータイヤと比べてもほとんど遜色ない操縦性を見せてくれた。オールシーズンタイヤのサマー性能としては十分なものであり、ウインター性能を合わせて考えると、オールマイティで魅力的なタイヤだと思う。