違いは多岐に渡るが中身はほぼ同じクルマだった
こちらの画像は2022年の「人とくるまのテクノロジー展 横浜」にて展示されていた、両車のボディの後席フロア付近を撮影したもの。左がエクストレイル、右がアウトランダーPHEVとなっているが、基本設計が共通していることは明白だ。
展示物の横には説明員として各モデルを開発したエンジニアが立っていたが、それぞれに伺った話をまとめると、「骨格部分(プラットフォーム)の基本開発は日産が中心となっていたという。とはいえ、三菱のエンジニアは折を見て日産の研究所に足を運んでいたようで、アウトランダーPHEVが20インチのタイヤを履けるようになっているのは、プラットフォームの設計段階で三菱サイドの開発目標を織り込んでいった結果だともいう。
さらに裏話的にいえば、当然ながらルノーからもさまざまな要望があったという。さすがにルノーからエンジニアが足を運ぶということは、コロナ禍ということもあって頻繫にはできず、距離と時差のあるなかでの情報共有には、外野が想像する以上の苦労もあったようだ。
それはさておき、このように基本設計の部分では共通しているエクストレイルとアウトランダーPHEVの具体的な似ている部分、異なる部分をあらためて整理してみよう。
ボディサイズ
エクストレイル
全長4660mm・全幅1840mm・全高1720mm・ホイールベース2705mm・最低地上高200mm
アウトランダーPHEV
全長4710mm・全幅1860mm・全高1745mm・ホイールベース2705mm・最低地上高200mm
エンジン
エクストレイル
KR15DDT型 3気筒DOHCターボ可変圧縮機構 総排気量1497cc 最高出力106kW 最大トルク250Nm
アウトランダーPHEV
4B12型 4気筒DOHC可変バルタイ機構 総排気量2359cc 最高出力98kW 最大トルク195Nm
駆動モーター
エクストレイル
フロント BM46型 最高出力150kW 最大トルク330Nm リヤ MM48型 最高出力100kW 最大トルク195Nm
アウトランダーPHEV
フロント S91型 最高出力85kW 最大トルク255Nm リヤ YA1型 最高出力100kW 最大トルク195Nm
こうしてスペックを並べていくと、ホイールベースが同一であるなど骨格ベースで共通していると感じられる部分は多数ある。駆動モーターの共通性について確実なソースは得られていないが、リヤモーターが同じスペックであるのは偶然ではないはずだ。
いずれにしても、エクストレイルとアウトランダーPHEVは、搭載するエンジンや4WD制御こそ異なるが、素性の部分では兄弟といえるモデル。いずれも市場で高い評価を受け、好調に売れているということは、基本設計が優れている証左であろう。そうした基本設計の優秀さが、開発リソースを集中したことで実現したのだとすれば、アライアンスの効果が確実にユーザーメリットとして生まれているといえそうだ。