今冬もアイスガード7が雪道での安全性を守る
さて、次は同じくスラローム走行だが、用意されたクルマは注目のトヨタGRヤリスRZハイパフォーマンスの4WD6速ミッション仕様車だ。全日本ラリーなどでも活躍し、いまもっとも注目されているこのGRヤリスを雪上で走らせることが出来るのは非常に有益で貴重な機会となる。装着されているタイヤは225/40R18 という低偏平のスポーティサイズで、アイスガード6と現行のアイスガード7(IG70)を装着した2モデルが用意された。
まず、アイスガード6でスタートする。四輪駆動車ゆえスタートのトラクション性能が高く、またGRヤリスのクロス化されたトランスミッション、そしてターボエンジンの力強い加速でラリーのスタートを彷彿させるような鋭いダッシュを引き出せる。スラローム区間を抜けていくと、四輪ドリフト状態からゼロカウンターをうまくコントロールすることができ、ダイナミックで迫力のある走行が可能だ。
バックミラーを見ると雪煙がけたたましく立ち上がり、タイヤが路面をしっかりと捉えながらもトレッドパターンが雪の表面を削り取って巻き上げているというのが実感としてわき上がる。制動Gもしっかりと伝わりABSが介入するものの決められたボックスの指定区間の中にきっちりとクルマを止めることができる。
次にアイスガード7(IG70)装着モデルに乗り換える。スタートでのホイールスピンは少なくなり、より強力な加速ダッシュで速度を上げることが可能となっている。また、ターンインにおいてはしっかりとステアリングの手応えを感じながらヨーを立ち上がらせ、さらにテールがリバースしたときに感じる横Gも、アイスガード6よりもしっかりと体感できるレベルに高まっている。
四輪駆動車の場合はアクセルオンすることによりトラクションがかかり、ヨーダンピングを抑える方向に車両の運動特性をコントロールすることができるため、旋回区間はパワーオフで回頭性を高め、それをパワーオンで収斂させて立ち上がって行くという非常に理想的な走行姿勢を引き出すことが容易にできた。
GRヤリスはカップリング式の駆動配分装置を持つ四輪駆動で小型軽量かつハイパワーであることから、もともとこうした雪道の運動性能に優れた特性がもたらされているわけだが、アイスガード7(IG70)とのマッチングで、よりそれを高度に引き出すことができると確認できた。
最後のメニューは、ヨコハマタイヤ自慢の雪上ハンドリング路において、なんと全日本ラリーでトップクラスを疾走しているアドバンカヤバKTMS GRヤリスに、モンテカルロラリーで唯一の日本人優勝者でもある奴田原文雄選手がドライブするマシンの横に同乗させてもらえる、というステージが用意されていた。
クルマはGRヤリスだが、ラリー用に改造されている。というもののトランスミッションはノーマルのマニュアルトランスミッションに変更されていて、本来のラリーで使われるドグクラッチのミッションとは異なっているという。装着されたタイヤはノーマルと同じ225/40R18で、果たしてこのロールゲージが張り巡らされ鍛え上げられたサスペンションと本格的なブレーキシステムをもつ全日本ラリー車とのマッチングがどうなのか興味深い。
早速、横に同乗させてもらい奴田原選手のドライブで発進する。加速感がしっかり感じられるほどにアイスガード7は路面をしっかりととらえていて、最初のコーナーからクルマを大胆にドリフトさせ雪の壁が正面に見えるような姿勢で旋回して行く。
奴田原選手はもともと三菱でランサーエボリューションを駆っていたことから、僕自身はかなり昔から付き合いのある選手で、お互いランサーエボリューションについて多くの経験を積んできた。そんな奴田原選手にGRヤリスの可能性を聞くと、非常にコンパクトで扱いやすく戦闘力が高いクルマだという返事が返ってきた。実際運転していて楽しそうであるし、現状でも戦闘力としてはランサーエボリューションXを上まわっているのを確信している様子だった。
ノーマルタイヤでハイスピードでハンドリングコースを責める奴田原選手だが、クルマの姿勢は非常に安定している。外から見るとものすごい姿勢で、まるでモンテカルロラリーのワンシーンを見ているようだが、室内はいたってスムースなG変化と快適な乗り心地、そしてコントロールのしやすそうな奴田原選手の運転姿勢を確かめることができた。できれば自身でも操縦してみたかったが、今回は同乗走行のみということでこの貴重な経験をさせていただくことになった次第である。
このようにアイスガード7はすでに多くのユーザーに支えられ高い評価と実績が築かれた信頼できるタイヤである。
今回それを改めて確かめることで、また今冬もアイスガード7によって多くの雪道での安全性が確保されるということを期待している。