「荒川」は「アラカワリバー」なのに「利根川」は「トネリバー」? 日本の地名を「英語表記」するときの謎 (2/2ページ)

広く知られている固有名詞はそのまま英語表記している

 いずれにしても、観光立国を目指し、さらに「東京2020」という大きな目標に向けて、さまざまな多言語表記について、その実態を調査し、一部を改めようという動きが起こったことは間違いない。

 同ガイドラインでは、「多言語での表記方法」での「単語の種類」として、日本語の「言語パターン」が、固有名詞と普通名詞に分かれていることを改めて提示している。

 その上で、固有名詞は、一般的な固有名詞として「東京」といった地方名や人名などの「日本由来」なもの。また、「リンカーン」など外国の人名や地名の固有名詞があるに分類。こうした固有名詞には、普通名詞部分を含む固有名詞があり、「〇〇公園」、「〇〇川」、「〇〇山」などが該当する。一方で、普通名詞には、日本由来ではすでに翻訳されているモノとそうでないモノがあり、さらに外国由来があるという分類だ。

 こうした固有名詞と普通名詞での分類を踏まえて、ガイドラインでは「普通名詞部分を含む固有名詞」についてさらに深堀りしている。

 基本的なパターンは、「普通名詞部分以外の表音を表記するとともに、普通名詞部分の表意を表記する」モノ。それらは、表音表記のみならず、表意表記の頭文字も大文字としている。

 例としては、「日比谷公園(Hibiya Park)」、「成田空港(Narita Airport)」、「富士山(Mt.Fuji)」、「石狩川(Ishikari River)」、「東京湾(Tokyo Bay)」などだ。

 一方で「普通名詞部分を切り離してしまうと、それ以外の部分だけでは意味をなさなかったり、普通名詞部分を含めた全体が不可分の固有名詞として広く認識されている場合には、全体の表音表記に加えて、普通名詞部分の表意を表記する」モノがある、と説明している。

 例としては、「月山(Mt. Gassan)」、「立山(Mt. Tateyama)」、「荒川(Arakawa River)」、
「芦ノ湖(Lake Ashinoko)」、「大阪南港(Osaka Nanko Port)」「東大寺(Todaiji Temple)」、
「平安神宮(Heian-jingu Shrine)」を挙げている。

 こうして改めて日本語の固有名詞を見てみると、多言語化するためにさまざまな工夫が必要なことがよくわかる。


桃田健史 MOMOTA KENJI

-

愛車
トヨタ・ハイエースキャンパーアルトピア―ノ等
趣味
動物たちとのふれあい
好きな有名人
聖徳太子(多くの人の声を同時にしっかり聞くという伝説があるので)

新着情報