エクストレイルにガチのライバルは存在しない
さて、そんなT33型エクストレイルのライバルを国産SUVで探してみると、”タフギヤ”のコンセプトからは、たとえばハリアーといった”SUVのカタチをしたトヨタの高級サルーン的キャラクターの”都市型クロスオーバーモデルは除外されるだろう。
で、キャラクター、走破性へのこだわり、そしてボディサイズ的にもっとも近いのは、スバルのフォレスター、それもマイルドハイブリッドのアドバンスグレードだ。ボディサイズは全長4640×全幅1815×全高1815mm。ホイールベース2670mmだ(2022年夏の大幅改良モデル以前のスペック)。そして、トヨタRAV4に後から加わった、ハイブリッドのアドベンチャーグレードも、2.5リッターエンジン+2モーターと、パワーユニット的にはけっこう違うものの、全天候型ハイブリッドSUVというキャラクターは似ていなくもない。
そして、クラス的にはマツダCX-5のクリーンディーゼルエンジン=SKYACTIV-Dも、電動車ではないもののガソリン車じゃないほう……という点では、ライバルとなりうるかも知れない。
ややアーバン寄りとはなるが、レクサスNXは、価格はともかく、全高は低いものの、全長、全幅はほぼ一緒。HVとPHVも揃える電動SUVモデルと言うべき1台だ。
ホンダのSUVで言うと、最新のZR-V(全長4580×全幅1800×全高1630mm、ホイールベース2735mm)ではなく、サイズ的にはCR-V(e:HEVモデルがある)に近い。
新型エクストレイルの価格は2WDでSの319.88万円からGの429.88万円、4WDだとS e-4ORCEの347.93万円からG e-4ORCEの449.9万円(4WDにのみある3列シートはX e-4ORCEが393.03万円)。そのほか、よりワイルドなデザインとなるエクストリーマーX、オーテックがラインアップされる。悪路走破性にこだわりがあり、3列シートも用意する電動SUVでは三菱のアウトランダーPHEVもあり、ボディサイズは近いものの、価格は中心グレードのGで490.49万円と、クラス上となるため直接的なライバルにはならないだろう。
新型エクストレイルが、進化したe-POWERを搭載し、極めて電動感の強いSUVであることからすれば、アウトランダー以外のモデルとしては、RAV4 HVのアドベンチャーグレードが比較的近いキャラクターになり得るが、キックスはさておき、直接的ライバルはほぼ不在、ともいえる1台になりそうだ。とくにe-4ORCE(4WD)車はフロント150kW+リヤ100kWものハイパワーモーターを搭載しているから、400万円前後の価格帯でもっとも電動車色の濃い、電動パフォーマンスを発揮してくれるSUVになることは間違いないだろう。
都市型クロスオーバーモデル、SUVのカタチをしたサルーンとして選ぶなら話は別だが、アウトドアやSURF & SNOWのスポーツの相棒としてチョイスするなら、ついにAC100V/1500Wコンセントを備えた新型エクストレイルは、ある意味、いきなりこのクラスで最強の存在になるかも知れない。