コンパクトMPV以外にも新たな”波”が来ている
トランスムーバーを普及させる後押しをしたともいえるライドシェアでは、アプリを使い配車要請をするとアヴァンザより小型のMPVとなる“アイラ”となるケースが圧倒的に多いとのこと。筆者も滞在中にライドシェア車両に乗ると案の定アイラがやってきた。アヴァンザより小さいぐらいかと思い乗り込むと、車内はかなり狭く、エンジン音を聞いている限りは日本の軽自動車に乗っているような気分であった。しかも、かなり使い込まれた車両だったが、多くはそのような車両だそうだ。事情通は「近距離移動ならばライドシェアもいいが、ある程度の距離移動をするならタクシーにしたほうがいい」と語ってくれた。
トヨタが専用車両にしているのに対し、ホンダは車名をそのままにタクシーにしている。地元消費者はそこに敏感になっており、「タクシーと同じ車名」ということでモビリオと距離を置く消費者も多いとも聞いている。トヨタはそれを察知して、車名を別にしているとのことである。
ちなみに、インドネシアではブルーの車体のタクシー会社が最大手。3年前にはほかの会社の車両もそこそこは見かけたのだが、今回はほとんどがブルーの車体のタクシーばかりであった。
この最大手のタクシー会社では黒塗りのプレミアムタクシーもラインアップしている。以前はメルセデスベンツEクラスなど、大型セダンだったのだが、今回訪れるとアルファードに替わっていた。さらにBYDのBEV(バッテリー電気自動車)タクシーを以前からラインアップしていたが、従来のMPVタイプのほかに、同じくBYD製のミニバンタイプもラインアップされていた。ただ空港から宿泊地まで乗っていこうとしたら、ドライバーから「帰ってこられないからいやだ」と言われた。まだまだ充電施設がジャカルタ市内でさえ充実しているわけではないので、あまり距離のあるところには行きたくないようであった。
インドネシア政府も車両電動化を推し進めている。タクシー車両においても、セダンからMPVへの次は、“内燃機関から純電気自動車へ”という流れになっていくのだろうと感じた。