この記事をまとめると
■いまインドネシアではコンパクトMPVのタクシーが多い
■ライドシェアアプリの普及によって人気を集めた
■電動化も進んでおり、BEVのタクシーも配備されている
ライドシェアアプリの普及によりタクシーの需要が変わった
新型コロナウイルス感染拡大以降、3年ぶりにジャカルタを訪れると、タクシー車両の様子が様変わりしていた。コロナ禍直前となる2019年にジャカルタを訪れた時のタクシー車両は、トヨタのコンパクトセダン“ヴィオス”をベースとした専用車両の“リモ”ばかりであった。ただ、当時トヨタの新興国向けコンパクトMPVとなる“アヴァンザ”をベースとした専用車両“トランスムーバー”がデビューした直後だった。すでにパラパラとジャカルタ市内でも見かけるようになっていたので、「ひょっとしたら……」と思っていたのだが、3年ぶりにジャカルタを訪れると、ほぼトランスムーバーに置き換わっていた。リモのタクシーも走っていたが、やがてトランスムーバーに入れ替わるものと思われる“くたびれた”車両ばかりであった。またホンダの新興国向けMPVとなるモビリオのタクシーも少ないながら走っていた。
タクシー車両がセダンタイプからMPVタイプに変わった背景には、ライドシェアアプリの普及があるようだ。インドネシア市場ではセダンよりもハッチバックやMPVの需要が多いこともあり、ライドシェアを手配すると、車両はMPVが圧倒的に多い。海外からやってきた我々など、手荷物の多い利用客にとっては、コンパクトセダンのリモより荷物が詰めるとのことで「ライドシェアっていいね」ということになってきた、“風”を感じ、トヨタもトランスムーバーをタクシー車両として投入してきてのではないかと考える。
今回空港から宿泊先まで3人でトランスムーバーのタクシーを利用する時も、大きなスーツケース3個をラゲッジルームにラクラク収納することができた。また、訪れたときは東京あたりに比べれば“涼しく”感じたが、それでも蒸し暑いなかでは、日本でのJPNタクシーの上級グレードのように、後席向けサーキュレーターがあるのが助かった。しかもJPNタクシーは風量が控えめであるが、トランスムーバーは風量マックスにすると“ゴー”という表現が似合うほど風を感じさせてくれた。