【試乗】中身はシッカリ進化していた! 「UX」はマイナーチェンジで「レクサス感」マシマシ (2/2ページ)

「コンフォート」と「スポーツ」で違いが明確な2台

 最初に走らせたのはUX250hバージョンLだったのだが、予想どおり。車体がガッチリした分だけサスペンションがよく動き、タイヤもゴツゴツした手触りを伝えてくることなく、ブランドからイメージされるような上質な乗り心地を感じさせてくれたのだ。

 先代(MC前)に最初に試乗したときにもベースとなったプラットフォームがC-HRとは思えない乗り心地のよさに感心させられたものだったが、それでも予想していたよりは硬めで、快適さに二重丸をつける気にはならなかった。が、新しいバージョンLは、はっきりと快適といえるレベル。大きな凹凸はうねりはもちろん、小さな目地段差のような箇所も巧みにいなして、滑らかに心地好くクルーズさせてくれるのだ。

 そしてこの乗り味には、2リッター4気筒にモーターを組み合わせたハイブリッドシステムが似つかわしい。スペックそのものは先代(MC前)からまったく変わっていないのだが、ぶんまわさなくてもスムースに前へと進んでくれるからエンジン音は気にならず、その静けさとコンフォート性を増したライドフィールとの相乗効果で、上質なクルマに乗ってるという感覚が際立つからだ。ここまで来ると立派に“高級車”である。そんなふうに感じられたものだった。

 もう一方の試乗車だった、UX200 Fスポーツ。じつのところ、こちらはもっと明確にスポーティな方向へと進んでることを予想していた。が、そういうわけでもなかった。確かに走り出した直後からステアリング操作に対する車体の反応の良さが感じられたし、コーナーを抜けていくときも腰を粘らせつつスイッと気持ちよく曲がってくれて、間違いなくバージョンLより爽快、と思いはした。そういう意味ではスポーティに走れるUXだ。

 けれど驚いたことに、乗り心地がまったく犠牲になってなかったのだ。というか、むしろ望外に乗り心地がよかった、といっていいほど。先代(MC前)のFスポーツはもう少し“いかにも”なところがあって、レクサスというブランドにはそぐわない子どもっぽさというか無理に若ぶった印象を受けたものだったけど、そこがだいぶしっとり大人っぽくなった感じ、といえばいいだろうか。もちろん快適さでは明確にバージョンFが優勢なのだけど、こちらもレクサスに相応しい領域に入ってるかな、とは思ったものだ。

 ただし、UX200のエンジンは自然吸気の2リッター直4。街中を転がすような場面ではともかく、力強く走ろうと思うとまわしてあげる必要がある。エンジンをまわせば活発に走ってくれるしスピードもついてくるのだけど、そのときのサウンドがやや耳障りに感じられる瞬間がある。何だかちょっとレクサスのイメージとは違うな、なんて思えてしまったのだ。車体が堅牢になってシャシーのセットアップが変わったおかげで全体的に高級感を増したからか、先代(MC前)以上にその点が気になってしまった。

 そんなわけでも新しいUXにはおおむね好印象ではあるのだけど、僕が選ぶならUX250hのバージョンL。基本的な走りのパフォーマンスに不満はないし、何ひとつ気掛かりなことなく快適なのだから。

 だって、これはレクサスのSUV。高級車ブランドのSUV。いかにエントリーモデルであっても、仮に“スポーツ”と“コンフォート”のどちらかを重視するかとしたら、やっぱりコンフォートだろ、と思うのだ。


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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