この記事をまとめると
■トヨタやボルボから紙のカタログの廃止が発表されている
■理由はコストカットや環境への配慮、またインターネットの普及など
■しかし紙のカタログならではのメリットがあるのも事実
一部改良などに合わせてカタログを入れ替えるのも困難
最近は紙のカタログを廃止する話が聞かれる。トヨタに関しては「2023年3月に紙のカタログを廃止する」という趣旨の報道があった。ボルボは「全世界で紙カタログの廃止を決定している」と公表した。
紙のカタログを廃止する理由はざまざまで、まずはコストの問題がある。カタログの質やページ数は車種により異なるが、大半はオールカラーで、色彩が美しく映える上質な紙を使う。
しかも車種によっては刷り部数が限られるから、1冊当たりの単価が高い。一般的な出版物でも、刷り部数の少ない写真集などは価格が高く、クルマのカタログにも同じことが当てはまる。トヨタの販売店からは「センチュリーのカタログは、部数が少なく、しかも立派な作りだから価格も高い」という話が聞かれる。カタログの輸送に要する費用も今は高騰している。
そして最近はパソコンやスマートフォンが大半の自動車ユーザーに利用され、インターネットも普及した。各メーカーはホームページを充実させたから「コストの高いカタログは不要」という話になった。地球環境への配慮もある。
トヨタは全店が全車を扱う体制に移行したから、以前に比べてカタログを置くスペースの確保が難しい。販売店では「カタログの大量な在庫を保管したり、一部改良などに合わせて、カタログを入れ替えるのも大変」という。
確かに細かな改良まで含めると、同じ車種でもカタログを頻繁に刷り直す。車両ではなくディーラーオプションカタログの刷り直しもある。これらを常に最新の状態に保つのは難しい。実際、販売店でカタログの入手を希望した時、改良前の古いカタログを手渡されたことがある。とくに車種が増えると、細かな改良に対応するのは困難だ。
以上のような切実な事情を考えると、紙カタログの廃止は理解できるが、ユーザーの立場でいえば残して欲しい。