デザインの自由度は上がったが、あくまで全体の一部である
●LEDによる表現はあくまでもカーデザインの一部
最近はとにかくクルマの顔がやたらに話題になります。オラオラ系グリルのミニバンが代表格ですが、たとえばBMWなどドイツプレミアム勢も巨大グリルでユーザーを驚かせていますし、フランス車では縦型のデイライトがフロントのシンボルになっています。
たしかに、クルマの顔はさまざまな要素が集まっていて表現の幅が広く、特徴が出しやすい「場所」と言えます。ただ、当然ですが顔はあくまでもクルマの一部であって、カーデザイン全体を示すものではありません。
つまり、本来は全体の造形こそが大切なのであり、顔やそこに置かれるランプはひとつの要素に過ぎないのです。まず優れたデザイン、スタイリング先にあって、自由度の増したLEDがそこにどのような味付けをするのか、ということです。
たとえば、最近ではホンダの「ステップワゴン」がいい例でしょう。初代や2代目をモチーフとしたシンプルで明快な箱型スタイルに、フロントランプではL字型、リヤランプでは縦の極めて細いLEDライトが、造形に溶け込みながら絶妙なアクセントになっているのです。
単に新しい技術に飛びつくのではなく、いかに巧くカーデザインに落とし込むのか? 今後はそこに注目するべきなのかもしれません。